第24話 #ナナ
3年ぶりに日本へ帰国した私は、実家に帰る途中に寄り道をした。
萬福軒
高校時代から大学に進学して今の仕事に就いて海外へ渡るまで、ずっと通い詰めたお気に入りの中華料理屋。
そして、このお店の3代目のマスターは、私の無二の親友だ。 私はこの親友のお陰で、自分の夢だった通訳の職に進むことが出来たと思っている。
実は、今回私が帰国していることは内緒にしている。
ハルっちはいつも冷静で無愛想な男だからね。
びっくりした顔が見たくての悪企み。
お店の前に立つと、食欲を誘う美味しそうな匂いが漂ってくる。
店構えは昔と変わっていない。
赤い暖簾も懐かしい。
暖簾を潜り、手動の引き戸をガラガラと開けると、店内の賑やかな音が聞こえてくる。
店内に足を踏み入れると「いらっしゃいませー!」と奥さんの元気な声が。
「あー! ナナちゃん!」
「ちーっす! マキちゃん久しぶり!」
「久しぶり!元気そうだね!」
「っていうか、マキちゃん!お腹! 二人目???」
「うふふふ。そうなの!」
「で、こっちの子は、もしかしてアキちゃん? おっきくなったねぇ! 今4歳だっけ?マキちゃんにそっくり!」
「大きくなったでしょ? もう幼稚園なんだよ」
「うはぁ。 前に会った時はちっこかったのにねぇ」
「あらあらあら!なんか騒がしいと思ったら、ナナちゃんじゃないの!」
「ナツミさん、ちーっす! ナツミさんは相変わらず若いっすね!」
「もうナニ言ってるのよ! 孫がいるおばーちゃんなんだから」
「またまたー」
女ばかりで騒がしく盛り上がってると、奥から無愛想な男が出て来た。
「おっす。片岡帰ってたんだな。おかえり」
「ただいま!ってか、ハルっち全然驚いてないし!」
「いや、驚いてるよ。 片岡、爪短くなったんだな。獲物狩りに行くのはもう止めたのか?」
「狩りなんか行ってないし!狩りの為にネイルしてないし!」
「で、注文は?」
「3年ぶりの再会なのにあっさりしすぎ! まぁいいや。 注文はねー、ギョーザと!唐揚げと!チャーハンね!」
「あいよ。 唐揚げもってことは、もう体形気にするの止めたんだな」
「ちょい! 相変わらず酷いな!」
お終い。
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- 琉水 魅希ネット小説が今ほど浸透していなかった昔は書いて自己満して終了。 現在では専ら読んで満足。 現代の皆様老若男女問わず文章力高くて恥ずかしくなっちゃうからね。 でもまた書いてみたいな〜と思い、幾人かの後押しがあって10年振りにリハビリとして何作品か始めました。←今ココ ところでラブコメってコメディだよね? そんな青春送りたかった。 チートはいらない、幼馴染とずっと一緒に大人になる人生が欲しかった。 引っ越しはある意味一番の敵。 子供にはどうしようもない。 ところどころネタにリアルや周囲の体験談をアレンジしてぶっこんでます。 かつて同人時代、完成間近で頓挫した銀色の二次創作ゲーム用に生み出した白銀 真希を、いつかここで作成したくてPCを打ち始めました。
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