第10話 安心

『おはようございまーす。』

出社しましたよって一応の挨拶。


「おはようございます」

『あ、、おはよ。』


山田くん。昨日はあんなだったのに、

もうこんなに元通りだ。


「トモコさん、ちょっといいですか。」

うんと頷けば、給湯室に着いてくる様言われ、今は2人、狭いここで向き合っている。


『はい。』

「昨日はすみませんでした!」

『あ、いや全然いいよあんなの。てか、

気が利かなくて、電車なんかでごめんね。』「それは!全然いいんすけど、、

変なこととか言ってないっすよね。俺。」


『あー、えっとーねー。』


そんなに綺麗な目で見つめないでくれ。。


『家に来たそうだったけど、

送ったら拗ねてた。』

「えー!?うそ、」


なにこれ、こんな素直に、話す子だっけ。

もしかして昨日のアレが、

2人の距離を少し縮めたのなら、

悪いイベントじゃなかったのかもしれない。


『うそうそ、ジョーダン。じゃ、

今日も迷惑かけるかもしんないけど、

よろしく。』

「あー冗談か。。安心した。

いや、できることなら失敗しない様にお願いします。」


なーんだ、いつも通りだ。

少し残念がったくせに、わがままな私は、

これが少し安心する材料だったりする。


いつもと変わらない、誰もいなくならない、

これが私の、安心なんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る