第14話 手

い、、今のはなんだったんだ!?!?

山田くんって、あーゆうときあーゆう顔、

するんだ…っっじゃ!な!く!て!


「トモコさん、ほらもう始まっちゃうよ、」

『う、、うん。』


さりげなく私の手を掬う

彼の少しだけ大きな手。

なぜか馴染みのあるその感覚と、

彼といると時々引き戻されるようなこの感情が

今はない混ざりになって、、

なんとなく、懐かしいって思ってしまう。


「今日はよくその顔しますね、」


わたしの歩幅に合わせて、真横をスタスタと

歩く山田くんは、覗き込むように、

あざとい上目遣いを披露しながらそう言う。


『えーどんな顔?』

「こんな顔ー!」


さっきまでしっかりと男らしかったくせに、

くしゃーと眉間にシワを寄せた変顔を

こんなに無邪気にしてしまうんだ。

恐ろしいやつだ…。


というか、、今日、は?

あれ、こんなのは今日がはじめてな、ハズ。


『あのさ山田くん、わたし今日いつもと違う?』

「うん、トモコさん今日、考え事してるって顔してる。僕といるのに、僕じゃないこと考えてる顔。してるよ?」


いやいや、

聞きたいのはそういうことじゃなくて。

いや、ほんとに困ったことにこのモードの

山田くんは最高なんだけどさあ。


『ねえ、、いつから私たちこうしてるっけ。』

「いつからって、僕の新人研修の時、

トモコさんが、声、かけてくれたんじゃん。」


うえええ、そんな前から??

そしてわたしから???

どうやらわたしは、深い深い眠りについてるのかもしれない。

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