第19話 居場所
【夢の中】
あ、また明晰夢、、。
気づいた時には、またあの真っ暗な空間の
真ん中かも定かではないそこで、
わたしがポツンっと立っている。
『ゆう、いるの?』
「トモコが呼べば、いつだって来るって、
約束したろー、?」
でもこの前は、抱きしめた途端に水蒸気の
ように消えてしまったじゃないか。
『もう消えない?』
「それは、約束できないよ。」
あー、このセリフ。
一つ、ゆうについて思い出した。
彼は絶対に、できない約束はしないんだ。
そこは約束ってしてくれたらキュンとするなーって昔に伝えたことがあるけど、、
出来なかった時に泣かせるのやなんだって、
彼はわたしの胸に顔を埋めて、背中に回した大きな両腕でトントンって撫でた。っけ、、
『ゆうは、今どこにいるの?』
「んー。ここどこだろ。トモコの胸の中、?」
ヘラヘラ笑うその顔は、前と何も変わらない。
本当は目の下についたその傷に、
そっと触れたいけれど、触れたらまた消えて
しまいそうで、わたしは両腕を腰の後ろで
きつく縛るように握った。
「トモコ、恋愛漫画なんて好きだったっけ?」
あれ、話逸らされた?
『んー。好きだよ。』
確かに、いつからだったかは忘れてしまった。
けど、確実に、ゆうと離れてから。
私はその、現実ではない空間にどっぷりと
ハマってしまった。
「じゃあそこが、今のトモコの居場所かー!」
ふーんと納得するように、ゆうは頷いて、
またどこかに消えてしまった。
『なんで…だっけ。』
なんで恋愛漫画なんて、、
好きになったんだっけ。
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