第24話 はじめての

『やだ!そんなのやだ!!なんでそんなことするの!!わたしの気持ち、知ってるくせに。

ゆうだって私のこと好きなくせに!!』


「あーもう、ダメだって泣いたら。」


ゆうは私の顔を見ないようにか、

自分の胸に私を強く押しつけて、

背中を両手でトントンとさする。


はじめての、ハグ。


「なあ、トモコ。俺は、トモコのこと好き。」

『じゃあなんで、、ねえなん


「だってさ、付き合うって約束したら、

俺、お前のこと幸せにする約束、したことになんだろう?」


私の言葉を遮るように、

背中を叩く手は止めないで、

ゆっくりとゆっくりと、

ゆうはそんなことを言う。


『じゃあ、その子のこと、幸せにする約束、、

したってことじゃん。』

「あーしたよ。

アイツにはそれが必要だったから。」

『私だって必要だよ、ゆうに幸せにしてもらえなきゃやだ!!』


困ったような顔をしてるのが、

見なくてもわかる。

ねえそんな女の子、ゆうには沢山いたの?


「俺、本当に大切なものとは、軽く約束、

できないんだ。」


なにそれ、意味わかんないよ。

その子はほんとに大切じゃないって言うの?

そんなの、、ゆうのバカバカバカバカ!!


ゆうは私の体を解放すると、

しゃがんで膝をついて、私の顔を下から眺めて

落ちる涙を全部掬い取るみたいに、

何度も頬にキスをした。


はじめての、キスを。


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