第25話 俺の気持ち
「ねえ、トモコ。」
チュッ、チュッ、って軽い音が、
誰もいない歩道に響く。
「お前も同じ気持ち?」
『うん、、好き。大好き。
ゆうのこと大好きで、大切なの。
だから、わたしだったら、、ゆうのこと、
誰より幸せにしたいって、思うよ』
泣きながら、途切れる言葉をちゃんと
最後まで聞いてくれる。
唇に落ちた涙には触れてくれないくせに。
「俺、何してんだろうなー。」
『本当だよ、、何してんの。わかんないよ。』
「俺さあ、俺の手でお前のこと泣かせるのが、
こんなに嫌なのに、嫌だからした決断なのに、
今お前こんなに泣いちゃった、、」
『だから私を、彼女にしてよ。』
「それはダーメ。トモコにはもっといい男がいるし、俺はそれじゃない。」
ねえ今、ゆうは残念そうに顔を歪めてるの?
それとも、良い言い訳ができたようで、
安心した顔をしてるの?
涙で前が揺らいで、よくわかんないよ。
『ゆう、キス、して。』
核心には触れなかった、ゆうの唇が、
とうとうわたしの真ん中に触れる。
気持ちが、揺れる。
「お前の肌って、本当にキレー。」
視界が少し鮮明になれば、
映るのはそんな風に、切なそうに眉を
しかめたゆうの顔。
「ねえ分かってくれる?」
『なにを、、』
こんな時、私はゆうの気持ちが
わかってしまう。
本当に愛したものを自分の手で傷つける辛さに
きっと彼は耐えられないんだ。
でも今返事をしたら、まるでキスで丸め込まれたみたいじゃないか。
「んー、俺の気持ち。」
『…わかんない。』
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