第22話 約束
私は、そんなゆうが好き、だった。
家の近かった私たちは、何度もこうして、
お互いを行き来して、辛くなったら話して。
毎晩顔を合わせた。
そりゃ、メールも電話も、
付き合おうなんて確実な契約もなかったけど。
多分、私の気持ちはとっくにバレていた。
『ねえゆう、そんなこと言って
死んじゃわないでよー?』
「俺、それは約束できねえよ。」
ゆうがココから落ちて後悔がないなんてのは、
私の胸には不可解に引っかかって、
いつか消えてしまいそうな彼を繋ぎ止めておきたかった。
『それは、約束ってしてくれた方が、
キューンってするなー、、』
「俺、出来ない約束はしたくねえの。」
『えー?』
「だってさ、俺、
お前に泣かれると点でダメなんだよ。
ダッセーよなあ。」
『ダサくなんか、、ないよ。
死ぬ気で約束、守ってくれればいいじゃん。』
死ぬ気で、死なないでよ。
「俺との約束でお前のこと泣かしたら、
俺は、本当に死のうとするんだろうな。」
エヘヘって笑って誤魔化すみたいな
顔をしたけど、、私にはわかる。
彼が、この言葉をどれだけ真剣に選んだか。
どれだけ私を、、
「俺はお前が好きなんだよ…。」
愛してくれているのか。
電車の通り過ぎる音には敵わない小さな声で、
ゆうは下を向きながら確かにそう言った。
私だってそんな、
好きな人の大切な言葉、
聞き流せるわけがないけれど。
でもそんなのも、暗黙の了解の内に、
聞こえなかったフリをした。
結局、私たちは終電が通り過ぎたのを
見終えたら、帰るってことになって、
当たり前のように私の家まで
送ってもらうことにもなった。
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