第8話 脚
明日酔いが覚めたら、
ガーッツリいじってヤロー。。
「トモコさんっていっつも
そんな脚出してんの?」
『へ?』
脚?
ほら、こーこーって
甘えた声の指差した先に目をやると、
私からすれば普通の部屋着から出た、
普通の脚。しかも、30手前の…
『いやいや!見ないでよ!』
咄嗟に手で隠すと、また山田くんは、
少し不満そうな顔をする。
「ダメじゃん、出してたら。
みんな、見ちゃうよ。」
『何言ってんの、ほらもう真っ直ぐ歩いて』
放っておくと、ふらふらと寄りかかる
山田くんの体を立て直して、
山田くんに少し掻き回された胸を、
絶対に明かさない様に、努めて、
冷静に返事をする。
私は山田くんを、いや、もっと言えば、
ただ酔っ払ってしまったただの後輩を、
駅まで送り届けた。
「ずっと思ってたんすけど。」
『はい、』
「トモコさんって肌綺麗っすよねー、」
彼の冷えた指が、私の頬をなぞる。
『そ?そりゃどーも。』
「お化粧しないなんて、そーとー
ダラけた先輩だなと思ってたんすけど、」
『おっきなお世話だわ。』
あれ、この会話。どっかでしたこと、、
ない、ない。そう、自分に言い聞かせてることになんて、気づかないふりをした。
「先輩の肌は、何にもしなくても、
こんなにキレー。」
どうして?そんな風に、切なそうに、
眉をしかめたりするの?
そんなの、あの日をあの時を、
思い出してしまうじゃない。
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