第12話 地獄行き?

 さて、これからどうしようか?


 今後の方針を決めないとな。


 そういえば、カナの能力はどうだったのか聞いてなかったな。

 気になるし聞いてみよう。


「カナ、君の来世の設定を教えてくれないか?」


「良いですよ」


 星   ……アーゼビルド星。

 種族  ……マウ・ネスズ。

 性別  ……雌。

 頭脳  ……5。

 身体  ……6。

 外見  ……10。

 親   ……10。

 超能力 ……前世の良縁。

 制限時間……1年。


 外見の数値が納得の高さだ!


 他の数値も、かなり高いな。


 星と種族は同じなんだな。

 超能力のおかげなのか?


 さらに制限時間も同じなのか、子孫を残すことに成功したからか?


 ついでに、俺の設定も伝えておいた。


「星と種族が同じなんですね。ところで、マウ・ネスズとは、どのような種族なのか分かりますか?」


「いや、分からない。これから聞きに行こう」


「教えてくれるところがあるんですか?」


「あるよ。それから、この町のことも教えるよ。俺はここに5回来ているからね」


「ありがとうございます。前世の時のように頼もしいですね」


「そ、そうなのか?」


 美女に褒められて、かなり照れてしまった。


 そういえば、前世でカナに近寄ってくる雄ギョギョイを追い払っていたからな。



 取引所に来た。

 カナに、この場所の説明をした。


 取引所の天使に星と種族のことを聞いてみよう。


「アーゼビルド星とマウ・ネスズの情報ねぇ」


 果たして、どんなものなのだろうか。


「アーゼビルド星は地球の言葉だとファンタジーの物語に出てきそうな星ね。魔物がいたり、ダンジョンがあったりするわ。だいぶ危険な星よ。お値段は制限時間200年よ」


 お値段は地球の5分の1の、危険なファンタジー世界か。


 物語を見ている時には、楽しくて面白そうに思えたけど、実際に住むことになると、どうなのだろうか?


 やはり危険過ぎて、つらくなるのだろうか?


 制限時間に余裕があったら買い替えた方が良いかもしれない。


「マウ・ネスズは地球のネズミに似ている生物ね。多産多死の生物よ。お値段は無料ね」


 今度はネズミか。

 多産多死の生物は本当によく当たるな。


 ここは買い替えたいな。

 天敵に狙われ続ける生活は、もう勘弁して欲しいし。


「売る気はないんだけど、前世の良縁という超能力は、おいくらなんだ?」


「その超能力の買取りはしてないわ。もめ事が起こりそうで面倒だし。売って欲しい時は条件が付くわね」


「条件?どんなものなんだ?」


「双方の同意が必要よ。後は制限時間が1人1万年、合計2万年ね」


 双方の同意か。

 ストーカーとか、そういった犯罪者が買わないようにするためなのか?


「分かったよ。ありがとう」


 ついでに鉄の剣を買った。

 カナの分もだ。



 後は、カナの戦闘訓練もしておかないと。


 戦闘訓練所で、カナに戦闘の手段を教えた。


 カナは相当器用で、すぐに覚えてくれた。


 もしかして、カナは俺より強いのでは?


 は!

 まさか将来は尻に敷かれるのでは!?


 いや、そんなまさか、だな。

 考え過ぎだろう。

 そうであって欲しい。



 最後にカナに転生町の周辺案内を見せて説明をした。


 これで転生役場での準備は整った。


 さて、これからどうするか?


 制限時間が厳しいから、満足に戦闘ができないと思う。


 戦闘を避けながらカードを集める方法はないものか。


 とりあえず、迷宮や城は狭そうだから敵を避けるのが難しいかもしれない。

 屋外の場所を探してみるべきか?


 いや、そんな弱者の思考ではダメなのかもしれない。

 いっその事、強力な敵を倒して、良いカードを狙うべきではないのだろうか?


 そのくらいの意気込みがないと、良い人生と超能力を手に入れられないのではないか?


 カナにも相談してみるか。

 カナに俺の考えを話し、意見を求めた。


「そうですね。ここは強力な敵を倒しに行きましょう!」


 即答された。


 カナは意外と好戦的な性格をしているのか?


「この地獄という場所に行くのが良いと思います!」


「え!?いきなり地獄に!?」


「はい!ここなら強い敵がいそうです!」


 なんという勇ましさ。


 ここで反対したらカナに見限られるかもしれない。


 よし、ここは男を見せるしかない。


「分かった。地獄に行こう!」


 こうして、俺たちは地獄に向かって行った。

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