第5話 レアを当てたよ

「お疲れ様です。あなたは死にました。今のあなたは魂です。この場所の説明は必要ですか?」


「4度目なので、不要だよ」


 また、ここか。

 あの口の悪い受付嬢の天使もいる。


 それにしても、俺って、いつ死んだんだろう?


 ヨノオワリダ星で、イモムシみたいな虫に生まれたのは覚えているのだが、死んだところが、まったく思い出せない。


 まあ、また頭部を激しく損傷させただけかもしれない。


 いや、イモムシみたいな生物だったし、全身がなのかも。


 思い出さない方が良いようだ。

 あまりにも恐ろしいから。


「かしこまりました。それでは採点を致します」


 いったい、どんな評価になるのか?

 死因が分からないから不安だな。


「終了しました。こちらが評価となります」


 ヨノオワリダ星出身、名前なしのクワルレシム。


 死因は爆発に巻き込まれたっぽい!?

 多分、焼死なんじゃないの!?


 と書かれている。


 なんだこれは!?

 死因がハッキリしていないのかよ!?


 それになんだ、このやる気のない文章は!?


 これを書いた神か天使は大雑把過ぎるだろ!


 ヨノオワリダ星の滅亡の爆発に巻き込まれるという不幸に見舞われたため、評価が大幅に上昇する。


 は?


 ヨノオワリダ星の滅亡の爆発!?

 ヨノオワリダ星って、爆発したの!?


 なんでそんなこと起こってんだよ!?


 あ、そうか、だからあんなに安かったのか。

 運良く買えて良かったと思うべきなのか?


 おっと、そんなことよりもやるべきことがあったな。

 ヨノオワリダ星の生物たちの、ご冥福をお祈り申し上げます。

 俺は、亡くなったヨノオワリダ星の生物たちに祈りをささげた。



「では、まずは、あなたがどのように生まれるのかを決めます。来世設定ガチャで」


 さて、今度は何になるのやら?



 星   ……バクスンゼ星。

 種族  ……ギョギョイ。

 性別  ……雄。

 頭脳  ……10。

 身体  ……7。

 外見  ……8。

 親   ……10。

 超能力 ……なし。

 制限時間……2000年と159日と3秒。



 え?


 な、なんだと……


 能力の数値が軒並み高水準だと!?


 頭が最高に良くて、身体能力高めで、イケメンで、親が超優秀!?


 星と種族は、まったく分からないものだけど、これはとてつもなく優秀なのでは?


「あの、バクスンゼ星とギョギョイについて、知りたいのだけど……」


「申し訳ありませんが、分かりかねます。それについては、取引所の担当に尋ねてください」


「分かった。行ってみるよ。ありがとう」



「バクスンゼ星とギョギョイ?」


 取引所の天使に聞いてみた。


「バクスンゼ星は、お値段、安めの星ね。制限時間1年で取引しているわ。ギョギョイは地球の小型の魚類みたいな生物よ。こちらは無料ね」


 制限時間1年か。

 安いな。


 ヨノオワリダ星よりは、まだ良いけど、バクスンゼ星は、結構危険な星なのかもしれない。


 ギョギョイはバクスンゼ星版の、ししゃもみたいなものか。


 星、種族ともに問題ありだな。


「ヨノオワリダ星って、どうなったか分かるのか?」


「あそこなら爆発してなくなったわ」


 やっぱり爆発してたのか。


 しかも、なくなったって……


 星でもなくなることがあるんだな。


「なんで爆発したんだ?」


「なんでも人間が作った兵器のせいだって話よ。ヨノオワリダ破壊爆弾という名前だったかな?」


 は!?

 ヨノオワリダ破壊爆弾!?


 何やってんだよ!?

 ヨノオワリダ星の人たち!?


 そんなもの作るなよ!?


 ひどい話もあったものだな。


「バクスンゼ星って、なぜこんなに安いんだ?」


「ああ、そこは、そろそろ危ないっていうウワサがあるからよ」


「危ない?どのように危ないんだ?」


「なんでも滅亡の危機らしいわ」


 滅亡の危機!?

 せっかく高い能力を得たのに、これはマズい!


 どうすべきか?


「頭脳とかの能力の数値を下げて、売ることって可能なのか?」


「それはやってないわ。数値を上げるのカードは、お値段が高額だからね」


 ダメか。

 数値を上げるのカードは、1枚で制限時間1000年だからな。


 そんなことやってたら、みんなすぐに大量の制限時間を手に入れてしまうだろう。

 意外と、このシステムは、よくできているよな。



 さて、どうしようか?


 制限時間は、そこそこあるから星と種族を、地球と人間に交換してもらおうか?

 それを行うだけで、かなり良い人生が遅れるはずだから、それでも良いとは思う。


 だけど……


 超能力に憧れるんだよな。

 使ってみたいんだよ。


 良い人生を送ってしまって、親ガチャへの不満がなくなったら、ここにまた来れるのか、分からないんだよな。


 あの口の悪い天使も、親ガチャへの不満があるから、ここに来たみたいなことを言ってたし。


 もし、ここに来れなくなったら、超能力を使う機会は永遠に失われてしまうかもしれない。


 そう思うと迷ってしまう。


 妥協すべきか、欲張って、理想を追うべきか。


 迷う。

 どっちだ。

 どうするべきだ。


 よし!

 決めたぞ!


 やはり、ここは理想を追うことにしよう!!


 俺は超能力を使いたいのだ!!


 今回は身体能力が高いし、カードを探しに行ってみるか。


 ちょっと、いや、かなり怖いから、もうちょっと訓練してからだけどな。

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