第97話 せっかくなので
「セイヤ、お願いがあります」
朝、朝食を食べていたら、カナがこんなことを言ってきた。
「迷宮の行っていない場所に行ってみたいです。生まれてしまったら、もうここには来れないかもしれませんから、せっかくなので行ってみましょう!」
確かにそうだな。
記念に行ってみようか。
召喚できる珍獣が増えるかもしれないしな。
「分かったよ。それじゃあ、行こうか!」
「はい、それでは準備しましょう!」
というわけで、迷宮に行くことになった。
取引所に行って、天使に事情を話したら、お小言を食らったがな。
まあ、神や天使の都合は、ある程度は無視しても良いだろう。
では、準備もできたし、出発だ。
迷宮を探索し尽くしてやるぞ!!
まずは、ピンク色の魔法陣から探索だ。
灰色の魔法陣と、何もかもが違うというわけではないようだ。
見覚えのある場所に来ることもあるし、出会ったことのある敵に会うこともある。
おや?
ここは?
まるで時代劇に出てくる、城下町のような場所だ。
なんで迷宮の中に、こんな場所があるのやら。
ちょっと実況と解説を召喚して、この場所のことを聞いてみようかな?
ここは、
当然、迷宮とかけたダジャレだそうだ。
ピンクの魔法陣にもダジャレがあるのか。
やれやれだな。
それでは、先に進むか。
なんだここは!?
迷旧都の中に、時代を明らかに間違えている建物があった。
白いコンクリート製の大きな建物だ。
実況と解説に、ここがなんなのか聞いてみた。
さまざまな研究をしている研究所で、
せっかく見つけたので、中を見学してみよう。
それは、迷究極エヴォリューションの研究だ。
急須が人間の顔になる、あのギャグを研究しているのか!?
こいつは、正気なのか!?
しかも、なんと成果物ができたらしい!?
その名も『迷究極エヴォリューション発生光線発射装置』だそうだ。
見た目は、手のひらサイズの迷急須さんだ。
なんでも9つある注ぎ口から、光線が出て、それに当たると進化するそうだ。
なんと、俺たちが見ている前で、実演をしてくれた。
普通の急須に光線を当てたら、その急須と同じくらいの大きさの、目威九さんのような形になった。
すごいけど、なんの役に立つのだろうか?
急須を進化させると、なぜあのようになるのだろうか?
まあ、良いか。
他にも、手のひらサイズのハイ殿様メカの形をした『ハイ搭乗発生光線発射装置』や、手のひらサイズの辞極の形をした『自極チェンジ発生光線発射装置』があった。
いったい何に使うのだろうか?
ん?
これらを悪用されたら、大変なことになるのでは?
光線を適当に発射したら、ひどい世界になりそうだな。
実はここって、すごく危険な場所なのではないか!?
破壊した方が良いのかな?
いや、しかし、1日たったら元に戻るし、意味ないか。
そんなことを考えていたら、研究所内で爆発が起こった。
なんでも
俺たちは、すぐに避難した。
迷究所は爆発して消えていった。
爆発後には、失敗は成功のもと、と書いてあるカードが1枚落ちていた。
手を下すまでもなかったか。
先に進もう。
「あああーーー!!ホネティーヌさん、なんであんなヤツとー!」
「うわあああーーーっ!イチズボネさん、なんであんな女とー!」
スケルトンの群れが、うるさく泣きわめいていた。
なんだこれは?
失恋して泣いているのか?
スケルトンたちは、よく恋愛をしているなぁ。
実況と解説に、あれが何か聞いてみた。
迷宮で泣きわめいているから、
相変わらず、くだらないダジャレだなぁ。
うるさいし、さっさと倒してしまおう。
よし、すべて倒したぞ。
泣いているだけだったので、楽勝だったな。
スケルトンたちは、元気出せ、と書いてあるカードを34枚落とした。
さあ、先に進もう。
何かいるぞ。
直径3メートルくらいの、デカくて茶色のイガグリのような見た目だ。
なんだあれは?
実況と解説がそう言った。
こいつもダジャレなのか。
さて、敵であるのなら倒そうか。
俺たちは剣を抜いて近付いた。
すると、迷毬は高速で回転しながら、体当たりをしてきた。
速度もかなり速く、危険な敵だったので、魔巻貝を召喚して、爆発させて倒した。
迷毬のミニチュアを手に入れた。
大きさは野球のボールくらいだ。
では、行こうか。
なんか飛んで来た。
直径1メートルくらいの眼球。
全高1メートルくらいの胃袋の模型と思われるもの。
成人男性サイズの、目が描かれているTシャツ。
全高1メートルくらいの胃袋の模型と思われるものに、芽の状態の何かの植物が生えているもの。
成人男性サイズの、何かの植物の芽が描かれているTシャツ。
これらが複数体飛んで来た。
なんだこの化け物は!?
実況と解説は、ただちに説明せよ。
目と胃が9個あるから、目が描いてある衣類が9枚あるから、芽の生えた胃袋が9個あるから、芽が描いてある衣類が9枚あるから、この名前だそうだ。
もちろん、すべてダジャレである。
ダジャレのために、変な敵を作るな!!
おのれ、神に天使め!!
結構素早く飛び回るので苦労したが、なんとかすべて倒せた。
目胃九、目衣九、芽胃九、芽衣九のミニチュアを手に入れた。
では、先に進もう。
この後は、目新しいものはなかった。
そして、5と書いてある看板の近くの魔法陣に入ったら、ボスの部屋に転送された。
もちろん、ボスは迷急須さんだった。
いちいち最奥から歩いて戻るのが、面倒だったので倒した。
迷宮はどこも5つのフロアがあって、5つ目にボスがいるのかな?
その後、休憩のために、いったん町に帰った。
そして、他の魔法陣にも入ってみた。
いやあ、迷宮はいろいろあるなぁ。
優秀なハトがたくさんいる、
トリガーハッピーなハトと九官鳥がたくさんいる、
優秀な馬がたくさんいる、
怠け者の馬と鹿がたくさんいる、
なぜか各地の敵たちが、就職活動をしている、
学生服を着たスケルトンたちが、一生懸命に勉強をしている、
スケルトンたちが暴れまわっていて、完全に学級崩壊している、
的確に治療してくれるスケルトン、
包帯すら満足に巻けないスケルトン、
球技の名選手のスケルトン、
面積、体積の計算が得意なスケルトン、
全高1メートルくらい、空中を飛び回り、体当たりをしてくる臼歯、
全高5センチくらい、空中を飛び回り、嗅覚が鋭い、しゃべる人間の鼻、
優秀な掃除機、
空気を吐き出して、ゴミをまき散らかすだけの掃除機もどき、
優秀な接着剤、
何もくっ付かない接着剤もどき、
給食作りの名人のスケルトンがいる、
権力者を的確に糾弾しているスケルトン、
ただ騒いでいるだけのスケルトン、
狙ったところに必ず矢が飛んで行く弓、
追いつめられると異様に強くなるネズミ、
美味しいお餅を作ってくれる、
お餅をついているはずなのに、なぜか違うものができ上がる、
俺たちが見ていた時は、とんかつと千切りキャベツができていた。
水を吸い込みまくる、
なぜか水を吐き出すので、消火に便利そうな、
優秀な除湿機、
ただの加湿機、
本当にいろいろいたなぁ。
なんでここだけ、こんなに広いんだよ!?
作り過ぎだろ!?
おのれ、神に天使め!!!
さて、後は茶色の魔法陣だけだな。
では、行ってみようか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます