第8話 奥に行くほど強い
さあ、探索を続けよう!
では、予定通り木の近くに行ってみようか。
もう出会い頭に戦闘というのは避けたいから、周囲に気を配りながら慎重に進もう。
何事もなく無事に、木のところに、たどり着いた。
うん、これは広葉樹だな。
それなりに成長した大きな木で、俺が登っても問題なさそうだ。
植物に詳しいわけでもないから、そのくらいしか言えない。
地球の木であるのかすら判別できない。
当然、この木の名前は分からない。
まあ、どうでもいいか。
さて、カードを探してみよう。
木の周囲には見つからなかった。
後、ありそうなのは木の上の方だな。
登ってみようか。
お、カードを発見したぞ!!
木のてっぺんの近くの枝に引っかかっていた。
どうやらカードは保護色をしているようだ。
枝と同じような色をしていて分かりづらかった。
さあ、カードを確認してみよう!
種族、ニホンザル、と書いてある。
サル!?
木の上に置いてあったからなのか!?
ううむ、なんとも微妙なカードを手に入れてしまった。
まあ、良いか。
何かの役に立つかもしれないし、持っておこうか。
さあ、次に行こう。
おそらく良いカードは、もっと奥地にあるのだろうと思うので行ってみようか。
おや?
あそこに同業者がいる。
なかなか渋い感じのおっさんだ。
どうやら休憩中のようだ。
せっかくだし、挨拶してみようかな?
カード集めは競争というわけでもないし、問題ないだろう。
いや、どうなんだろう?
早い者勝ちという面も、あると言えばあるし。
突然、襲われてカードを奪われるとかあるのだろうか?
なくはなさそうだ。
ちょっと怖くなってきた。
でも、それを含めて確かめた方が、今後のためになるか?
相手は1人だし、襲われても対処はできるだろう。
そもそも今の俺は、たいしたカードを持っているわけでもないしな。
最悪、ししゃものカードを投げつけて、逃げれば良いわけだし。
ししゃものカードにも、意外な有効活用法があるものだな。
というわけで、話しかけた方が良いという結論が出たぞ。
さっそく話しかけてみよう!
ついでに情報も聞き出してみよう。
「どうも、こんにちはー」
「ん?ああ、こんにちは」
「カードは見つかりましたか?」
「いや、サッパリだな。そっちはどうだ?」
「ししゃもとサルが見つかっただけですよ」
「そうか。もっと奥に行かないと良いのはないぞ」
「やはりそうなんですか?じゃあ、もっと奥に行ってみます」
「ああ、気を付けてな。奥に行くと敵が強くなるからな」
「ありがとうございます。そちらも、お気を付けて」
良いおっさんだったな。
どうやら取り越し苦労だったようだ。
良かった。
それに有益な情報ももらえたな。
やはり奥に行くほど良いものがあるのか。
そして、その分、敵も強くなると。
まるでゲームみたいだな。
神や天使はゲームを参考にして、ここを作ったのかもしれないな。
それじゃあ、奥の方へ行ってみようか。
ナニアレ!?
しばらくの間、奥に向かって歩いて行くと、とんでもないものを見つけてしまった。
まるで恐竜のような、とてつもなくデカい生物だ。
全長20メートルくらいの、ティラノサウルスのような外見をしている。
あんなのまでいるのか!?
強くなるのは知ってたけど、ここまで強そうなのが出てくるのは想定外だぞ!
神と天使に修正を求めた方が良いのか!?
機会があったら文句を言っておこうか。
とりあえず、この状況をどうするべきか考えよう。
アレって、人間が勝てるものなのかな?
あ、そういえば、今の俺は魂だったな。
なら勝てるのか?
どうだろう?
能力を使えば倒せるのだろうか?
倒せるのかは分からないが、危険であることは間違いなさそうだ。
とりあえず、逃げるか。
さすがに、あんなのと戦うための準備はしていないからな。
主に心の。
さあ、音を立てないようにコッソリと逃げるか。
残念ながら見つかってしまった。
また目と目が合ってしまったのだ。
また恋ではなく、戦闘が始まるようだ。
ティラノサウルスもどきが襲ってきた。
しかも、とんでもなく足が速くて逃げ切れるか分からない。
仕方ない、戦ってみるか。
かなり怖いけどね。
ティラノサウルスもどきが大口を開けながら、真っ直ぐに突進して来た。
俺を食いちぎるつもりのようだ。
鋭い牙が見える口の中に鋭い牙が、並んでいるのが見える。
あんなので食いちぎられたら、一巻の終わりだ。
いや、ここだと新たな生の始まりなのか?
まあ、今はどうでもいいことか。
ティラノサウルスもどきの大きな口が、俺に届きそうなった瞬間、俺は身体能力を強化して右に避けた。
そして、頭部を強化した剣で斬り付けた。
金属同士がぶつかったような鋭い音があたりに響く。
な、なんだ、これは硬過ぎるっ!?
まったく斬れなかったぞ!?
それどころか、かすり傷すら付いていないぞ!?
こいつは生物っぽく見えるだけで、実は全身が金属製の機械なのではと思えるほどだ。
いったん距離を取るか。
そう思ったが、今度は尻尾が向かって来た。
かわしきれずに、当たってしまい、吹っ飛ばされてしまった。
全身に激しい痛みが走る。
痛すぎて動けない。
こんな痛み、今まで感じたことがない。
そうだ、回復能力があったんだった。
今こそ使い時だな。
あぁ~、よく効くなぁ。
全身の痛みが引いていく。
ティラノサウルスもどきが、再度突進してくる。
俺は身体能力を、さらに上昇させて跳び上がる。
そして、ティラノサウルスもどきの頭上からビームを放つ。
制限時間を100年分使った渾身のビームだ。
頼むぞ!
貫いてくれ!!
ビームはティラノサウルスもどきを貫き、大地をえぐり、爆音を鳴り響かせた。
ティラノサウルスもどきは光の粒子となって消えた。
た、助かった~。
なんとか撃破したか。
地上に降りた俺は、座り込んで一息ついた。
戦闘の恐怖から解放されて、気が抜けてしまい、周囲に敵がうじゃうじゃいるということを忘れていた。
それがいけなかった。
いつの間にか、別のティラノサウルスもどきが、近付いて来ていたのだ。
派手に戦っていたから、気が付いて寄って来たのだろう。
そして、不意を突かれた、俺はそいつに食いちぎられてしまったのだ。
俺の意識は深い闇の中に落ちていった。
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