第95話 アレを超えた?第2形態

 悲報、辞表を極めたら、人間っぽくなった。

 そういうものなのか?



 光がはじけた後に、現れたのは仙人みたいな人間型の何かだった。


 身長は、あまり変わってない、4メートルくらい。


 顔は長くて白い眉毛と口ひげで、大部分が隠れている。


 頭はハゲている。


 白色の道着のような服を着ている。


 あれは封筒の中身なのか?


「出たーーー!ついに出ました!あれは第2形態の爺極じじごくさんです!!」


「おじいさんを極めているから、この名前なんですねぇ。地獄とかけたダジャレというわけです。いやあ、これは実に素晴らしいですねぇ」


 おじいさんを極めているのか。


 まあ、確かにそれっぽい見た目だな。


 うん、納得できるぞ。


「フフフッ、どうやら驚いているようだな。無理もない」


 うーん、他のボスに比べると、そんなに驚くほどでもないような……


「この姿を見たなんじらは、もはや生まれるしかないのだ」


 仙人のようなものを見て、生まれるのか。


 縁起は良さそうだけど、遠慮しておこう。


「さあ、なんじらの生誕を祝福してやろう!ゆくぞ!」


 せっかくだけど、お断りいたします。


 さあ、ぶっ倒してやるぜ!!!!



「さあ、来い!自五九じごくよ!!」


 第2形態でも、何かを召喚するのか?


 爺極の周囲に、爺極のそっくりさんが多数現れた。


 どれも本物と、まったく同じで見分けがつかない。


 な、なんだあれは!?


「おおっと、出ましたよ!あれは自五九さんたちですね!!」


「自分自身とまったく同じ者が59体いるから、この名前なんですねぇ。地獄とかけたダジャレというわけです。これは見事なダジャレですねぇ」


 ボス自身とまったく同じ!?


 ということは、本体と合わせて60体もいることになるのか!?


 これはマズいぞ!


「驚くのはまだ早い!さあ、来い!似五九じごくよ!!」


 なっ!?

 また召喚だと!?


 爺極の周囲に、爺極のそっくりさんが多数現れた。


 どれも本物と、まったく同じで見分けがつかない。


 また増えた!?


「さらに出ました!!あれは似五九さんたちですね!!」


「自分自身とよく似ている者が59体いるから、この名前なんですねぇ。地獄とかけたダジャレというわけです。これは素晴らしいですねぇ」


 似ている者!?


 それどころじゃないだろ!?


 そっくりだぞ!!

 自五九と同じじゃないのか!?


「フハハハハッ!まだまだ!来い、次五九じごくよ!!」


 さらに呼ぶのか!?


 爺極の周囲に、爺極のそっくりさんが多数現れた。


 どれも本物と、まったく同じで見分けがつかない。


 またまた増えたぞ!?


 1体見たら、何体にいることになるんだ!?


 家事獄にもいた、黒光りするアレを余裕で超えているぞ!?


「ついに出ましたよ!!あれは次五九さんたちですね!!」


「次の世代が59体いるから、この名前なんですねぇ。地獄とかけたダジャレというわけです。これはワンダフルですねぇ」


 次の世代!?


 本人じゃないのか!?


 さすがに、それはウソだろ!?


 見た目がまったく変わっていないじゃないか!?


 伴侶側の遺伝子は仕事をしなかったのか!?


「さあ、勝負だ!魂たちよ!!」


 爺極たちが、いっせいに向かって来た。


 はい、では、さっそく魔海産物店をぶつけましょう。


 いくら増えようと、この大爆発の前ではどうしようもあるまい!!


 食らえ!!


 俺とカナは魔海産物店を投げ付けた。


 爺極たちにぶつかり大爆発が起こる!!


 ふっ、勝ったな!!


 ……えっ!?


 な、なんだと!?


 爺極たちの数が、全然減っていないだと!?


 どういうことだ!?


 大爆発だったはずなのに!?


 ま、まさか!?


 おかわりできるのか!?


 倒されても、何度でも召喚できるということなのか!?


 くっ、だが、まだだ、まだまかいは召喚できる。


 全部投げ付けてやる!


 俺とカナは、召喚できるまかいをすべて投げ付けた。


 マカイーグル、山山、波カバ、迷急須にも撃たせた。


 これでどうだ!?


 何!?

 バ、バカな!?


 爺極たちの数が、まったく減っていない!?


「フハハハハッ、その程度ではこの私は倒せん!!」


 爺極たちが、笑いながら言った。


 これはヤバいって、どうしよう!?


 多分、あの中にいる本体を倒さないと何度でも召喚されるんだと思う。


 ただ闇雲に攻撃しても、召喚された者のどれかが本体をかばうのだろう。


 どうしよう?


 ビームで全部吹っ飛ばすか?


 うーん、それは制限時間を、かなり消費しそうだよな。


 他に良い手はないものか?


 そうだ!


 ここはアレを召喚してみよう。


 ダメだったら、ビームで吹っ飛ばそう。


 俺はハイトイレを召喚した。


 そして、多数の茶色と黄色の水の球を、爺極たちに向けて撃った。


「な、なんだこれは!?グアアアアーー!!」


 爺極たちに水の球が命中する。


 命中してしまった爺極は、悲鳴を上げている。


 これなら本体が分かるかもしれない。


 多分、本体は命中しないようにするはずだから、キレイなままだろう。


 服の色が白だし、見分けがつくようになるはずだ。


 多分。

 きっと。


 俺は、ハイトンボ、ハイトビ、歯糸、ハイトイレットペーパーを召喚した。


 そして、上空からキレイなままの爺極を探させた。


 おっ、歯糸とハイトイレットペーパーが、糸とトイレットペーパーを伸ばしている。


 何かを捕まえようとしているようだ。


 本体を見つけたのか?


 俺も飛んで確かめよう。


 うん、まったく水が付いてないヤツがいるな。


 あいつを攻撃しよう。


 そういえば、爆発するヤツがまだいたなぁ。


 せっかくのなので、呼んでみよう!!


 俺は迷給料袋を召喚し、投げ付けた。


 さらに、ハイトンボとハイトビがバズーカを撃つ。


 さあ、これでどうだ!!


 爺極たちは消えていった。


 よし、勝ったぞ!!


「決まったーーー!!!挑戦者が爺極さんを倒しました!!」


「いやあ、見事な作戦と連携でしたねぇ」


 間違いなく倒したようだな。


「見事だ。魂たちよ。私の玉座を見るが良い」


 スピーカーから声が聞こえてきた。


 では、戦利品の確認をしようか。



 玉座にあったのは、白色の道着、辞表の極みと書いてある白い封筒、トロフィー、カードが4枚だった。


 白色の道着と白い封筒は、ボスの使っていたものだな。


 トロフィーはいつものだ。


 辞極が飾ってある。

 いつも通りの『あんたはすごい』も書いてあるぞ。


 今回はカードが4枚なんだな。


 そのうち2枚は、じごく召喚のカードだった。


 役に立つのか、ちょっと疑問だが、まあ、良いか。


 覚えよう。


 俺とカナは、じごく召喚を覚えた!!


 さて、もう2枚はなんだ?


 2枚とも、さっさと生まれろ、と書いてある。


 なんだこのカードは?


 意味が分からないな。


 まあ、良いか、取引所で聞いてみよう。


「それでは、挑戦者の皆さん、今回はこれにて、お開きとさせていただきます」


「ありがとうございました」


 実況が締めの挨拶を言って消えていった。


 では、帰るとするか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る