第102話 2と1が逆になっただけ
「究極急須合体!!!!」
キュースィーがそう叫ぶと、9つの光がすべてが合わさった。
そして、光がはじけた。
そこには生まれる前に迷宮の最奥で見た、急須のようなものがあった。
大きさ、色、注ぎ口の数、全部同じだな。
あれって迷急須さんそのものなのではないのか?
そう思えるくらいそっくりだな。
ちょっと、お笑い担当の天使、これは似過ぎだぞ!?
問題じゃないのか!?
「ハハハハハッ!これが私の本当の姿だ!」
キュースィーが誇らしげにそう言った。
そ、そうですか。
生まれる前に、見た覚えがありますね。
あの世に行ったら、天使に文句を言うべきでは?
「さあ、ゆくぞ!!人間ども!!」
キュースィーが、9つある注ぎ口から、いっせいに水を吹き出した。
まるで噴水のようだな。
これは、いったい何がしたいのだろうか?
ま、まさか、これが笑死力のギャグなのか!?
「ぐううっ、くっ、やるな、人間どもめ、ならば、これはどうだ!!」
キュースィーが苦しそうに、そう言った。
やはり笑死力のギャグだったのか?
キュースィーはしばらくの間、水芸を続けた。
うん、まあ、その、なんて言うか……
一生懸命やっているところ、非常に申し訳ないのだが、正直、笑える要素がどこにもないのだが……
どうしたら良いのだろうか?
ここはひと思いに、とどめを刺してあげた方が良いのかな?
そうしようか。
よし、倒そう!
では、あれとよく似た敵を倒した実績のある方を呼んでみようか。
俺はハイトイレを召喚した。
ちなみに、この星のトイレは地球の洋式の便器と同じような形をしているため、ハイトイレも便器と認識されるぞ。
「な、なんだと!?そんなバカな!?人間が笑死族を召喚したのか!?」
キュースィーが驚きながら、そう言った。
ああ、うん、確かにそう見えるかもしれないな。
これはギャグです、笑わせようとしています、と言いたげなデザインをしているし。
さあ、攻撃開始だ!
やれ、ハイトイレ!!
多数の茶色い水と黄色い水の球が、キュースィーに向かって飛んで行く。
「こ、これは人間から出るお茶!?グアアアアーー!!」
水の球が命中したキュースィーが、妙なことを言いやがったぞ!?
人間から出るお茶ってなんだよっ!?
何を言っているんだ、あいつは!?
違うに決まっているだろ!?
やってしまえ、ハイトイレ!!!!
俺は茶色い水と黄色い水の球を、さらに撃たせた。
水の球がキュースィーに、次々と命中していく。
「そ、そんなバカな、人間ごときに、この私が……」
キュースィーは砕け散った。
これで倒したのか?
「やりました!挑戦者がキュースィーさんを撃破しました!!」
「いやあ、容赦のない攻撃でしたねぇ」
実況が騒いでいる、どうやら倒したようだな。
良かった。
さて、他の場所を調べてみようか。
なんだあれは!?
奥へ進むと、多数の不審者がいた。
身長は成人男性くらい。
白い紙袋を頭にかぶり、白い貫頭衣を着ている人型の何かだ。
その不審者たちの前には、白い粉状のものが山積みになっている。
怪し過ぎる、なんだあいつらは!?
「ホワッ、ホギャラチャルギョルギデ……」
奇声を上げながら、山積みの粉に向けて両手をかざしている。
なんだあれは!?
新種の変態か!?
ん?
あれは?
山積みの粉が人間の形になっていくぞ!?
あれはスケルトンか!?
ということは、ここはまさか笑死族の製造工場なのか!?
「あああああーー!!こんなんじゃあ、ダメだ!!」
不審者の一人がそう言って、出来立てのスケルトンを投げて破壊した。
せっかく作ったのに、何をやっているんだ!?
とりあえず、実況と解説に聞いてみよう。
「おおっと、あれは笑死族を作り出そうとしてますよ!!」
「ああやって、材料に笑死力を込めて作っているんですねぇ。ただ、今回は満足できるものが作れなかったようですねぇ」
あれは、そういうことなのか。
意外とこだわっているんだな。
「ダメだ!ダメだ!俺はもっと斬新な笑いを、ギャグを作りたいんだーーー!!!」
不審者の一人が、そう叫んだ。
熱意すごいな。
人間にとっては、迷惑極まりないけど。
「これは、すさまじい笑いへの情熱ですね!!」
「いやあ、素晴らしいクリエイターですねぇ」
実況と解説も称賛している。
「むっ、ナニヤツ!?」
あ、不審者の一人に見つかった。
「な、なんだそいつは!?まさに笑いのために生み出されたようなフォルム!!か、完璧だ!!なんて素晴らしいんだ!!あ、あ、あ、あああーーーー!!!!」
不審者の一人が、頭を抱えて叫び始めたぞ!?
発狂したのか!?
なんでだ!?
何が素晴らしいんだ!?
どういうことなんだ、実況と解説?
「おおっと、これはハイトイレさんのデザインに嫉妬してしまったようです!!」
「クリエイターとして、悔しいのでしょうねぇ」
ええ!?
そういうものなのか!?
まあ、どうでもいいけど。
さて、ここを破壊しようか。
敵が増えるのは、非常にマズいからな。
俺とカナは魔海産物店を召喚して、要塞を脱出した後に爆発させた。
要塞は崩れ去った。
これで任務完了かな?
さて、帰るか。
おっと、ハイトイレたちは帰ってもらわないとな。
この星の人たちに見られたら、笑い死んでしまうかもしれないし。
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