2章 ミラナリア争奪戦?

第27話 お見合い写真はとりあえず燃やしましょう

サクラ王国の王城、とある一室にて。


「あ~、全然終わらないですよ!どうして、こんなにも私のお見合いが多いんですか。もうこの作業を一週間近くやっていますよ!あ~面倒くさいです、もうこれ全部燃やしちゃいましょうよ。」


ミラナリアが何をしているかというと、先日の一件で各国にミラナリアの力が知れ渡ってしまったため、お見合いの話が各国から寄せられているのだ。もちろん、ただ、放置しておけばいいというものではない。


相手によっては返事を書かなければややこしくなることもあるのだ。そのため、初めは一応、目を通すだけのことはやっていたが、日を増すごとに婚約者候補の肖像画が追加され、最近では適当に処理しているのだった。


「仕方ないだろ、先日の一件で魔物の脅威を各国は再認識したんだ。メロロ王国は一瞬で国が滅んでしまったが逆に言えば君の力があれば滅んでいなかったんだぞ。それがどういうことを示すかくらいわかるだろ。


表面上では穏やかだが、裏ではうちの国への妬みとか嫉妬が凄くて、いつ強硬手段に出てくるかも分からないんだぞ。むしろ、お見合いの肖像画を送りつけてくるなんて可愛いほうだ。


今はうちで保護しているから他国も手を出すのは難しいが婚約をすればどうにでもなると思っているんだろう。


あと、燃やすなんてダメに決まっているだろ、そんなことをして万が一、誰かに見られたらどうするんだ。もはや世界を敵に回すような行為だぞ。相手の中には他国の王子なんて何人もいるんだ。挑発行為として取られればどうするつもりだ。


それに、そういう時のために君の好きなメイドに世話をしてもらえているだろ?」


「それはそうなんですけど、私だってお仕事をしない日は大切ですよ。メイドさんを与えていれば勝手に働くチョロい女だと思われるのは心外です!断固抗議します!


あと、他の国になんて行くつもりはありません!だってここにはなんだってあるんですから、生活の基盤も手に入れましたし、これからは働かないで生きていくのです!」


「はぁ、君を最初に見つけたのがうちの国で本当に良かったよ。ほんと、過去の自分を褒めてやりたい。」


二人がそんな馬鹿な話をしていると、扉を開け、国王が中へとやってくる。


「おっ、やっているな。どうだ、終わりそうか?」


しかし、ミラナリアの作業している机には山のように肖像画が積まれている。その状況こそが、国王の問いに対する答えを示していると言ってもいいだろう。


「王様、終わりませんよ。これ、燃やしていいですか?」


「ん?いらないのならいいと思うぞ。でも、紙がもったいないから城の厨房の窯にでもくべといてくれよ。そうすれば無駄がないだろ。」


国王はさも当たり前のようにミラナリアの問いに答える。しかも、妙案だろうというように少しドヤ顔をしている。ミラナリアに至ってはうん、うんと頷いている。


もちろん、そんなことは認められるわけがない。公爵は彼らのバカな会話をすぐさま止めようとする。


「何をアホなことを言っているんですか!そんなの良い訳がないですよ!しかもなんです?紙がもったいないからって厨房の窯で燃やしてどうするんですか!陛下もそんなことでドヤ顔しないでください。そこ!何を頷いているんですか。うん、うんじゃありません。」


そんなことを言われても、二人は何を言っているのだという表情で公爵を見つめるだけだ。メロロ王国の一件が無事、終わったとしても公爵の苦労はまだまだ続きそうである。

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