第43話 豚はデブではないんです!
「豚だと、お前!僕のことを豚だと言ったのか!この僕が太っていると言いたいのか!許さないぞ!」
皇子にとってはミラナリアに太っていると言われたのが一番許せなかったのだ。本来であれば他の部分で怒る点など何点もあるが、彼にとってそれは禁句にも等しい言葉だった。
兵士たちに押さえられているはずの彼だが、ものすごい力で抵抗し、兵士たちも皇子を抑えるので精一杯だ。
「えっ?なんで怒っているんですか?公爵様、私、何か起こられるようなことをしましたか?」
しかし、ミラナリアは先ほどの自身の発言に悪気など全くないため、何故、目の前の皇子がここまで怒っているのかが理解できないのだ。そんな彼女に公爵は長~~いため息をつき、じと目をしている。
「なぜって、あの体型を見てみろ。あんな奴に豚なんて言ったらキレることくらいわかるだろ。豚は太っている人間に対する侮辱的な発言なのだから。」
「そうだ!お前、よくも僕のことを豚なんて言いやがったな!ぶっ殺してやる!」
公爵の発言を聞き、ミラナリアはようやくここで自身の考えと公爵たちの考えに差異があることに気が付くのだ。
「あれ?もしかして公爵様はあの人が太っているから私が子豚なんて言葉を使ったと思っているんですか?」
「ん?そうじゃないのか?だって彼はどう見ても豚みたいな体型じゃないか。」
そんな、公爵の言葉を聞き、ミラナリアは笑い出してしまう。もちろん、公爵はそんなミラナリアのことを理解できないでいた。
「あははっ、違いますよ。そんなわけないじゃないですか、豚みたいな体型ってむしろ誉め言葉ですよ。だって、豚のあれは脂肪じゃなくて筋肉なんですから。この人のどこに筋肉があるって言うんですか、どう見てもただの脂肪の塊ですよ。
こんな人に対して豚みたいだなんて言ったら豚に失礼ですよ。この人の体型を貶すならアザラシみたいですねって言わないといけないですよ。
確か、アザラシは体の半分くらいが脂肪という話を聞いたことがあるのでそれくらいですよ。この人の場合、見た感じだとかなり太っているので大体似たようなものじゃないですか?」
「アザラシ?いったい何の話をしているんだ?」
もちろん、公爵はアザラシなど見たことがない。そんな彼がアザラシみたいとたとえ話を振られてもよく分からないのだ。
「あぁ、そうでした。要するにですね、この人は自然界でもトップを誇るレベルの脂肪の持ち主なんです。彼のような逸材は百年に一度の存在と言っても過言ではありません!」
もはや、ミラナリアの発言は誉めているのか、貶しているのかよく分からない。もっとも、圧倒的に貶してはいるのだが。
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