第42話 封印された口撃が再び始まる

「は?貴様、デマを言うのも大概にしろよ、どうしてこの僕がこの国の国王の殺害予告などをするのだ!そうか、貴様この僕をはめようとしているのだな。先ほど、この僕に知り合いも、家族も、恋人もその首を目の前に並べてやると言われたから冤罪をでっちあげているのだな!


いいだろう、もう怒ったぞ。楽に殺してやろうと思ったが楽にはさせん!そいつらを全員お前の前に連れてきて拷問してやる、お前も、お前の知り合いも家族も恋人も全員泣き叫べばいいんだ!あははっ、あははっははっ!イヒヒッ、イヒヒヒ。」


ついに皇子は怒りの一線を超えていまい、高笑いを始めてしまう。しかし、その発言が国王の殺害予告を行ったというミラナリアの証言を証明することとなってしまう。


もちろん、公爵もそのことに気が付いてしまった。皇子の不運なところはここにいるミラナリアが、現在、各国が躍起になって手に入れようとしている人間だということ、目の前にいる男性はこの国の公爵であり、ミラナリアの婚約者だということを知らなかったということだ。


つまりは皇子の言っていたミラナリアの恋人と家族、知り合いという中には公爵や国王も含まれているのだ。なんと、知らず知らずのうちに皇子はこの国の公爵と国王の二人に対して殺害予告を行っていたのだ。


「なるほど、よく分かった。今回ばかりはミラナリアのお手柄というほかないな。このような人間は放っておけるはずがないし、これだけの理由があれば他国の皇族でも十分捕らえる理由になる。だれか、だれかいないか!衛兵はいないか!」


そんな公爵の叫びに何事かと兵士たちが集まってくる。そんな兵士たちはもちろんだが、公爵の顔を知っている。そんな公爵が、ここにいる人間は国王陛下の殺害予告を行った危険な人間だと言えば皇子が何を言おうと、捕らえて連行するに決まっているのだ。


「は、離せ!貴様らこの僕にこんなことをしてただで済むと思っているのか!おい、お前のせいだぞ!お前が僕の言うことを聞かないから悪いんだ!」


元々、今回の原因はミラナリアではなく、皇子が悪いのだが、彼にとってはそんなことは当の昔に忘れ去られたことなのだ。


もちろん、ミラナリアだってそんなことを言われれば黙っているなどありえない。


「おかしなことを言う、子豚さんですね?もとはと言えば、あなたが順番を守らないから、こうなったんですよ。


それに、順番を守らないだけだったら、こんなことにはなりませんでしたよね。あなたが自分の言う通りにならないからって権力を使って誰でもかんでも殺そうとしたのが原因ですよね?


それを私のせいだなんて、はっ、どうやら頭の中も子豚ちゃんだったみたいですね。せめて成人した豚にしてくださいよ。だらしないのはそのお腹だけにしてください、頭の中までそれじゃあ、これから生きていけませんよ?


おっと、国王陛下の殺害予告を示唆したんですから、あなたにはこれからなんてないのかもしれませんが。それでは、これから大変な人生を歩んでいくと思いますがどうかめげないでくださいね。これからじゃないですか、楽しい、楽しい時間は。」


こうして再び、ミラナリアの封印されていた口撃が始まろうとし、公爵は隣で頭を抱えている。

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