第11話 徐々に広がる魔物の被害
場所は変わり、ここはメロロ王国の王城。
「宰相殿、魔物の目撃情報が一向に静まりません!むしろ、この数日間で徐々に増加しています。いくら兵士が使い捨てで替えが聞くと言いましても、これ以上魔物の数が増えれば兵士の補充が間に合いません。」
現在、メロロ王国では国中で魔物の目撃情報が寄せられていた。宰相の元に届けられる報告はどれもこのままでは魔物を狩っている兵士の数が足りなくなるというものだった。
「どうなっているんだ、これは異常事態だぞ!なぜ、ここまで魔物たちが現れるようになったんだ。クソ、それにしても兵士の練度が低すぎる。平民どもが、こういう時のためにお前たちの命はあるのだぞ!それなのに、足止めもまともにできないとは、使えない。
どうすればいい、未だに魔物が発生した原因は特定できないし、陛下はこの件に関与せず、寝室で戯れているばかりだ。」
なすすべもなく、頭を抱えている宰相に兵士からの報告が上がる。
「報告いたします!西の辺境伯領が魔物により壊滅いたしました!」
その報告は宰相や周囲で話し合いを行っていた貴族たちに衝撃をもたらす。
「な、なんだと!おい、その報告は本当だろうな、嘘であれば貴様の首を即刻跳ね飛ばすぞ!」
宰相は突拍子もない報告を信じることができず、鬼のような形相で兵士をにらみつけてしまう。この国では貴族に目をつけられるだけで平民は生きていけないのだ。報告を行った兵士も宰相に睨め付けられ恐怖していた。
「ひ、ひぃ~っ。」
恐怖のせいでいつまで経っても宰相の質問に答えない兵士にイライラし始めたのだろう。宰相は大きな声で彼を怒鳴り始める。
「さっさと答えろと申しているのだ!先ほどの報告は真実なのか偽りなのか、早く答えろ!」
「も、も、申し訳ございません。先ほどの報告は真実でございます。誓って嘘ではございません、ですので、どうか殺さないでください。」
宰相の怒鳴り声で兵士は完全に委縮してしまう。
「クソッ!まさか魔物の動きがここまで早いとは。んっ、おい、貴様いつまでここにいるのだ!報告が終わればさっさとどっかに行け!貴様程度が居て良い場所ではない。」
再び宰相が怒鳴り上げると今度こそ殺されてしまうのではないかと危惧した兵士は脱兎のごとく立ち去るのであった。
「宰相殿、これは非常にまずいですぞ。何とかして今回の原因を突き止めなければなりません。」
「しかし、どれだけ調べても原因が分からないのだぞ。これ以上何を調べればいいのだ。」
宰相が周囲の貴族達に声をかけると皆黙り込んでしまう。みな、何かしなければならないとは言うものの、具体的には何をすればよいのかこれ以上思いつかないのだ。そんな中、貴族の1人が妙案を思いつく。
「そういえば、魔物が目撃され始めたのは前国王陛下が崩御されてからではないですか?もしかすれば、陛下の遺品の中に手がかりがあるかもしれませぬ。」
「そうか、それだ!よく言ってくれた、私は直ぐにでも陛下に許可を頂き、前国王陛下の遺品を確認する!」
宰相は騒ぎの原因を確かめるために前国王の遺品を捜索するのであった。
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