第12話 メイドさんにお世話をしてもらえるのならどこにだって行きますよ!

メロロ王国で宰相たちが魔物の対応に追われている中、ミラナリア一行は長旅を経て王都へと到着していた。


「ここが王都ですか、噂には聞いていましたが広いところですね。それに、メロロ王国と違って国民が生き生きしているように感じます。」


「それはそうさ、この国ではメロロ王国と違って国民のこともちゃんと考えているからね。さて、とりあえず私はすぐにでも陛下の薬を作るためにこの薬草を届けなければならない。


兵士に案内させるから少しの間部屋で待っていてくれ。詳しい話はそこでしよう。」


「分かりました、薬草を渡し終わってから詳しく話を詰めましょう。それと、結界のことは国のことなので国王も同席したほうが良いのではないですか?それならば体調が回復されてからのほうが良いと思うのですが。」

「そうだね、そのことも一緒に話すよ。とにかく、私はこれを届けるから失礼するよ。」




ミラナリアは公爵と共に王城へ訪れた兵士の一人に案内された部屋で待っているとドアをノックする音が響き渡る。


「はい?」


「やぁ、待たせて悪かったね。早速、詳しい話を詰めようじゃないか。まずは、僕たちの命を助けてもらった謝礼の金貨100枚だよ。受け取ってくれ。」


公爵はそう言うとミラナリアに袋いっぱいに入った金貨を差し出す。もちろん、確認を怠らないミラナリアである。きちんと100枚あることを確認し、受け取りを完了する。


「ありがとうございます。・・・はい、確かに受け取りました。」


「よし、それではひとまずこの件に関しての清算は完了ということにするよ。続いて、例の結界に関してだ。これは先ほど、君が言った通り国に関することだから陛下に許可を得なければならない。そこで、その話し合いを一週間後に行いたいと考えているのだけれど、大丈夫かな?


とりあえず、一週間は君の面倒をこちらで見よう。おそらくだが、陛下も了承されると思うから一週間後は約束通り、一人暮らし用の家で暮らせばいいと思うのだけれど、それでいいかい?」


「はい、それで問題ありません。最悪、国王に拒否されたとしてもこれだけのお金をもらっていますので生活には困りませんから。」


マイホームは惜しいが、先ほど金貨100枚をもらったのだ。これだけあれば十分に生きていけるから最悪、国王がミラナリアのことを拒絶したとしても問題ないのだ。


「まぁ、私も説得するつもりだから大丈夫と思うんだけどね。陛下は頭がキレる人だ、君の話をすればきっと好待遇で迎えてくれるよ。」


「そうなることを祈ります。それでは、早く屋敷に行きましょう!メイドさんたちにお世話してもらえるんですよね!急ぎましょう!」


「いや、何で君が仕切っているんだよ。一応、僕の屋敷だからね。」


メイドさんにお世話してもらうことが楽しみなミラナリアは後ろで呆れている公爵を放置して部屋を飛び出すのであった。

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