第13話 本音を言ったらなぜか国王に気に入られました!
公爵の屋敷の1週間はミラナリアにとって大変満足なものだった。いままでは他者にお世話などされたことがなかったため、非常に新鮮な経験だったのだ。そのうえ、ミラナリアは将来、ぐ~たらな生活を目指しているのだ。
メイドさんにお世話されたこの一週間は限りなく彼女の理想に近い生活であり、ミラナリア自身も満喫していた。
本日は公爵の屋敷の敷居をまたいで1週間となる。つまり、国王と面会を行う日でもあるのだ。よほど、例の薬が効いたのか、当初の予定よりも早く国王は全快していたらしいが担当医が大事をとって予定通り面会は今日となったのだ。
「さて、今からこの国の王に会うのだが、用意は良いですか?」
公爵がミラナリアに準備はできたかと尋ねるが杞憂であった。いつだってミラナリアは準備ができているのだ。
「問題ありません、さっさと陛下との面談を済ませてしまいましょう。」
「君は本当にマイペースだね。」
最近では公爵の呆れ顔しか見ていないような気がするがそんなものは見なかったことにするミラナリアである。
ここは王城の一室、ミラナリアと公爵、国王の三人で面会を行っていた。
「ということなのです、陛下いかがでしょうか?この計画がうまくいけば魔物による被害がゼロになります!」
公爵は国王に、いかにミラナリアの能力が優秀なものかを説明する。すべての説明を聞き、国王の口が開かれる。
「公爵、話はよく分かった。この話が真実であれば国が受ける利益は計り知れない。ミラナリアといったな、いくつか聞きたい。」
「はい、なんでしょう?」
「君が結界を張っていたメロロ王国に比べ我が国の領土は広大だ。その点に関しては大丈夫なのか?」
「問題ありません、どれだけ大きな領土でもすべて結界で覆うことができます。」
「なるほど、それに関しては理解した。だが、君の力は強力だ。うまく使えばこの国だって手中に治めることだって可能なはずだ。君がこの国に肩入れする目的はいったい何なのだ?」
国王は計り知れていた、話を聞けば彼女が有する力は一国を支配することもできる強力な能力だ。そんな彼女が自分から国に協力するというのが国王には理解できなかったのだ。しかし、ミラナリアの答えは決まっている。
「そんなことは決まっています!ぐ~たらしたいからです!」
ミラナリアの発言に腹芸という分野で歴戦の猛者であるはずの国王も固まってしまう。
「な、何を言っているのだ?」
彼女の言葉を理解できていない国王をかわいそうに思い、公爵が詳しく経緯を説明する。
「というわけで、彼女は少々、というかかなり変わった人間なので気にしないでください。初めにお伝えした通り、年に金貨1000枚と大きな一人暮らし用の家を報酬と渡せば問題ないかと。」
「フハハハハッ!気に入ったぞ、ぐ~たらしたいから働くなど、初めて聞いたわ!フハハッ、久しぶりに笑ったわ。ミラナリア、おぬしに任せるとしよう、報酬は約束のものを用意する。頼んだぞ!」
国王は余程、ミラナリアの言い分が愉快だったのだろう。腹を抱え、大笑いしている。
「任せてください、報酬を頂くのであれば仕事は完ぺきにこなして見せます!」
「それは心強いな。そうだ、話を聞くと公爵がミラナリアの身を守るそうではないか。ミラナリアのことは気に入ったから私も全力で守ろうではないか。メロロ王国などが押し寄せてきても、ひねりつぶしてくれるわ!」
公爵に引き続き、国王までもがミラナリアの心強い味方となったのである。
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