第16話 お祝いとは飲みたい奴が騒ぎ立てる大義名分である

「いやぁ、私が見込んだだけのことがあるな!さすがだぞ!」


「陛下、彼女のことを見込んだのは私ですよ。」


「細かいことは気にするな、剥げるぞ!」


ここはミラナリアが国王との契約によって獲得した家だ。何故か分からないが国王と公爵の二人がこの家で自慢し合っている。


「いや、何で二人がここにいるんですか!」


「良いではないか、ミラナリアのおかげで魔物の被害がぱったり無くなったのだ。これを祝わないでどうするか!」


サクラ王国ではミラナリアの結界により、魔物の被害がゼロになっていた。すでに内部にいた魔物の駆逐も完了しており、ミラナリアが結界を解かない限りこの国は完璧に安全な国となっていたのだ。


「陛下のその意見には賛成です。これは偉業ともいえることなのですよ、お祝いしなければもったいないです。」


「だよな、今回の出来事は盛大に祝うべきだ。」


「私のいないところで勝手にしてください。そういうのは面倒なので遠慮しておきます。」


お祝いと称する飲み会にミラナリアは巻き込まれたくないのだ。彼女は彼らの誘いをパスする。


「ガハハッ!つれない奴だな。まぁ、ふざけるのはここまでにしてミラナリアのことをサクラ王国の国賓として内外に発表するつもりだ。」


突然、真剣な表情を始める国王にミラナリアも何かを感じ取ったのだろう。面倒だが一応、はなしを聞くことにする。


「理由を聞いてもいいですか?」


「あぁ、もちろんだ。現状、この国はミラナリアの結界によって魔物の被害が無くなっている。この情報を商人たちに広めればうちは唯一無二の安全な拠点として扱われるからな。商人たちが集まって国がさらに発展する。


だが、そんな話が広がればミラナリアにちょっかいをかけてくる奴も出てくるからな。そうなった時に、何の後ろ盾も持っていないような形だったら間違いなく狙われる。だから、今のうちにこの国の国賓と言っておけばそれだけで変な奴らはいなくなるんだよ。」


「まぁ、確かにそうですね。商人たちに噂を広めなくてもいずれ勝手に広まるでしょうから口止めは意味がありませんね。それならいっそ、事前に準備を進めておいて自分たちからということですか。もちろん、国賓だからと言って何かをしなければならない義務とかはありませんよね?」


国王の提案には大方賛成のミラナリアであったが、それによって役目などが増えてしまうのは嫌なのだ。


「もちろん、今のままで何も変わらないさ。」


今までと変わらないのであればミラナリアとしても問題ない。


「ではそれでお願いします。こちらも守ってもらう立場なのである程度の不自由は問題ありません。」


「そう言ってもらえると助かる。早速で悪いんだが、しばらくは王城に住んでもらえないか?警備の関係でこの家よりも城の方が助かるんだよ。」


「そ、それって、メイドさんのお世話付きですか?」


嫌な顔をされるかもしれないと思っていた国王だがミラナリアの反応はそれと全く異なっていた。


「あぁ、もちろん王城だからメイドも付くが。」


「それなら、喜んでお城に行かせてもらいます!」


メイド付きでぐ~たらな生活ができるとミラナリアは大喜びだった。しかし、国王からすれば何故、彼女が喜んでいるのか分からない。ミラナリアが喜んでいる理由が全く分からない国王のために公爵が詳細を説明するのであった。

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