ときは昭和戦後――黒犬の生涯は哀歓に満ちて
それからクロは、毎日、おとうさんのお墓へ通う犬になった。
めぐる季節のなかで、クロの背はだんだん小さくなっていく。
クロは身じろぎもせずに、お墓の前にたたずんでいる。
老いた背に、花びらのような牡丹雪が舞いおりる。
懐かしい人びとはもうだれも遠くへ行きはしなかった。
山に、野に、街に、お墓に、雪は静かに降り積んでいく。
ありとあらゆるものを真っ白に塗りこめて……。❄🍃🐕
約12,000字を全18話に分け、毎朝3話ずつ更新の予定。
ときは昭和戦後――黒犬の生涯は哀歓に満ちて
それからクロは、毎日、おとうさんのお墓へ通う犬になった。
めぐる季節のなかで、クロの背はだんだん小さくなっていく。
クロは身じろぎもせずに、お墓の前にたたずんでいる。
老いた背に、花びらのような牡丹雪が舞いおりる。
懐かしい人びとはもうだれも遠くへ行きはしなかった。
山に、野に、街に、お墓に、雪は静かに降り積んでいく。
ありとあらゆるものを真っ白に塗りこめて……。❄🍃🐕
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