第10話 無情の野犬狩り(ノД`)・゜・。


 

 夏――。👒

 みどり濃い山中を楽しげに走りまわる2匹のすがたがあった。

 そろって山を越え、谷を走り、せせらぎでのどをうるおした。

 風の匂いを嗅ぎ、青空を眺め、鳥のさえずりに耳を澄ませた。

 


 秋――。🍁

 赤く色づいたカエデの下を、ゆっくり歩いて行く2匹がいた。

 クロは心なし気だるげで、ビー玉のような目を潤ませている。

 そんなクロを、肩を並べたハッピーがやさしく見守っている。

 


 冬――。❄

 朝晩の冷えこみがきびしくなって、山頂に初雪がやって来た。

 クロのおなかは、ますます大きくふくらんで垂れて来ている。


 鉛色の空から白いものが舞って来そうな、寒い夕暮れのこと。

 2匹は寄り添って暗くなりかけた林道を里へくだって行った。

 とそのとき、2匹のうしろから音もなく黒い影が忍び寄った。

 

 ――ピュウッ!!

 

 するどく2本の鞭が鳴った。🚚

 

 ――ギャオ~ン!!

   キャイ~ン!!

 

 いきなり地獄につき落とされたような、世にも恐ろしい悲鳴が同時にあがる。

 首に巻きついた細い紐は、もがけばもがくほど容赦なく犬たちを締めつけた。

 

 ――クロ―ッ!!

   ハッピーッ!!

 

 2匹は声にならない声で互いを呼びながら、物のように引きずられていく。

 トラックには頑丈な檻が設置されていて、2匹は別々の檻に放りこまれた。





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