第18話 悲しみは突然に
一はいつものように家で料理を作っていました。
テレビをつけっぱなしで料理を作っていました。
ニューステロップが流れます。
無音のニューステロップです。
【沖縄で旅行中の高校生男女が通り魔に襲われ重症】
ちらっと見えたニューステロップ。
一は、ふと思います。
「そう言えば、美姫と護も沖縄旅行だっけ??」
そう思って美姫と護とみさきがいるグループラインに通知を送ります。
一「通り魔が沖縄に出たってテロップ流れたけど大丈夫?」
するとすぐに通知が来ます。
みさき「私も見ました。大丈夫ですか?」
1時間、2時間。
時間が過ぎても返事は返ってきません。
そしてニューステロップが流れます。
【沖縄で通り魔に襲われた男女死亡】
一は慌ててラインを送ります。
一「美姫?護?」
返事はきません。
そして何気なくニュースにチャンネルを変えます。
「こちらは沖縄県――です。
こちらでは高校生の葛城美姫さんと住永護さんがナイフで刺された現場です。
犯人は現在も逃亡しており――」
テレビのアナウンスが一のみ耳に入りません。
なにが起きているのかわかりません。
ただわかることがあります。
今、スマホに美姫の母親から電話が掛かってきています。
一には出る勇気がありません。
なぜならそれは美姫の死を護の死を受け入れることになるからです。
でも一は電話に出ました。
「一ちゃん」
美姫の母親が声を絞るように言います。
「美姫……護くん。
死んじゃった……」
一には、そう言って母親が泣き崩れているのが目に浮かびました。
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