第20話 7月の悲しい涙

一はふと気づいてしまいました。

美姫への気持ちが揺らいでいたことに……


自分のジンクス。


【好きな人は別の人としあわせになる】


しかし、一はマイナス系のジンクスを持っていました。


【好きな人への気持が無くなったらその人に不幸が訪れる】


一はそれに気づいたとき。

ただひたすら罪悪感を感じてしまいました。


そして罪悪感を感じていたのは一だけではありませんでした。


「ああ……」


みさきが自分の部屋で泣き崩れます。


「私が好きになってしまったからだ……私が……」


みさきもジンクスを持っています。


【自分が好きになった人は死ぬ】


それは、強力なジンクスでした。


「だからあの人も……」


みさきの涙は止まりません。


「だったらあの人も――」


でも好きの気持ちは変わりません。


「でも嫌われたくない」


避けようと思っていた人への憧れ。

思ってしまう人への気持ち。


みさきはただただ泣くしか出来ませんでした。

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