第33話 なければつくる

しろいくま。

ガッツリみかん。


みかんを求め。

みかんを願い。

みかんに託した。


だけど両方とも売っていませんでした。


「かなしみ」


葉月が小さく嘆きます。

峰子も残念そうです。


「大丈夫です!」


蜜柑がニッコリと微笑みます。


「蜜柑ちゃん、みかんがないと部活活動ができないよ!」


「先輩、ウチ軽音部ですよ」


一のツッコミは誰の心にも響きません。

もうみんなみかんのことで頭がいっぱいだからです。


「私を誰だと思っているんです?」


蜜柑の質問に峰子が首を傾げます。


「有田蜜柑さん?」


「ふふふふふ……

 有田蜜柑は仮の名!

 真の名は、みかん姫!

 私の冷蔵庫にはみかんがある!」


蜜柑の目が輝きます。


「でも、しろいくまもガッツリみかんもないんだよ?」


「みかんはある。

 冷凍庫もある。

 そして導ける道は一つ!

 ないものは作れます!

 他の果物もありますし……

 きっと!できます!」


そういった蜜柑の目はまっすぐで未来を見ていました。

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