第34話 みかんはあるのにみかんはない

一同は蜜柑の家に到着しました。


「お屋敷?」


葉月が言います。


「お家です」


蜜柑が答えます。


「お金持ち?」


葉月の質問に蜜柑は言います。


「みかん持ちです」


「でも、あそこにある屋敷は……」


「あの3200坪の家は蜜柑専用だよ」


「3200坪……」


一は絶句します。


「蜜柑ちゃんはお小遣いいくらくらい?」


葉月の言葉に蜜柑は言います。


「んー、みかん5個分くらいかな。

 キティちゃん比べたら小さい雀の涙ですよ」


峰子がじっと蜜柑を見ます。


「貴方……」


「どうしました?」


「つまりこういうことです?

 蜜柑の重さは1個130グラム。

 1万円札の重さは約1グラム」


するとそっと蜜柑の指が峰子の唇に蓋をします。


「それ以上は禁止事項ですよ」


「みかん」


峰子は謎の言葉を放ったあとちょこんと座りました。


「なにをしたの?」


「なんでも蜜柑を使ったのです」


一と葉月の背中に冷たい何かが走りました。

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