第37話 天井にあるもの

壱が目を覚ましたとき一番最初に目に入ったのはアンパンマンが貼られた天井でした。


「アンパンマン?」


壱の言葉にみさきが驚きます。


「……アンパンマン?」


「って、川名さん?どうしてここに?

 ってここはどこ?」


「私は葉月先輩から連絡もらって来ました。

 ここは病院です」


「そうなのか……」


「はい、看護師さん呼びますね」


「うん」


みさきは、コールを鳴らし看護師を呼びました。


すると医師と看護師が現れ壱の体調と見ました。


「意識ははっきりしているようだね。

 軽い貧血だね、ご飯はちゃんと食べてる?」


「あ、はい」


壱がそういって小さくうなずきます。


「本当ですか?」


みさきも心配そうに尋ねます。


「うん、食べてるよ」


「今日の晩御飯は何がいいですか?」


「え?」


「バイトが終わったので作りに行きます。

 毎日作りに行きます」


「それはなんか悪い気がする」


「悪くないです。

 頼ってください」


「うーん、本当にいいの?」


「いいです」


「よし、話はまとまったようなので斎藤くん。

 今日は帰っていいよ」


「あ、はい」


「ありがとうございます」


壱は小さくお辞儀をしてベッドから降りました。

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