固結びした紐の解き目

 佐々木刑事は被害者が住んでいたアパートににお邪魔させて頂いていた。アパート住人の中で一番被害者と仲の良かった田島さんに話を聞こうと佐々木刑事はアパートの管理人と交渉していた。田島さんの部屋があるのは二階の部屋だった。

「まずは田島さんの家に行ってみよう。」

管理人がそう言いながら、階段を昇って行った。

「ここが田島さんの借りている部屋です。」

その部屋は204号室だった。

「チャイムを鳴らしてみましょう。」

 ♪ピンポーン♪

高い音が空高く響く。扉の奥からは一切音がしない。

「今は留守のようですね。」

残念そうな管理人さんの声と佐々木刑事のため息が調和する。佐々木刑事は少し考えてから

「また来ます。一応本人には僕が来たことを伝えておいてください。」

と言った。佐々木刑事は被害者の家の中を捜査することが必要だと思い、管理人に許可を取った。そして佐々木刑事は捜査一課の刑事たちを呼ぶことにした。

 アパートにやってきた捜査一課の刑事たちは驇織タリシキの部屋に直行した。被害者の家である203号室の前に刑事たちは規制線を張った。

「まずは家宅捜索しましょう。」

佐々木刑事の上司がそう言った。刑事たちは部屋の中にあるものを少しずつ手分けして調べた。佐々木刑事がこう叫んだ。

「何か怪しいものがありました。」

佐々木刑事が見つけたのは何枚もの紙が束になった資料だった。その資料には“㊙資料”と赤文字で書いてあった。中には劇団内の秘密やらなんやらが書かれていた。

「これは事件に関係ありそうですね。」

そこにいた刑事が管理官に言った。

「捜査をこの資料に関係あると思って捜査しろ!」

管理官がそう大きな声を上げた。そして管理官は

「今日はここで解散!」

と付け加えた。

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