警視庁刑事の興奮と渡部嘉実の失望
佐々木刑事の目の前に死体が転がって来てから二十分、警視庁捜査一課の刑事一行が白い白鳥ホールにやってきた。劇自体は中止され、観客は佐々木刑事や劇団メンバーによってホールの外へ移動した為、ホールに残っているのは佐々木刑事と劇団メンバーだけだった。
警視庁捜査一課の刑事たちは被害者の劇団での人間関係を調べるべくひとりひとりに細かい話を聞いていた。一方佐々木刑事は仲間たちに事件の概要を出来る限り詳しく説明していた。まだ事件の詳しい部分は不明で、捜査を拡大していかなければならない。その為にはさらに捜査員を増やす必要があるが人員が足りない。だからこそ捜査員ひとりひとりの活躍が必要であり、活躍が目立つのだ。
被害者の人間関係を調べている刑事が声を上げた。
「貴方は、あの有名なワタベヨシミさんでいらっしゃいますか?」
ただ声だけを聞くと、捜査員のひとりが本物の嘉実に反応してしまった、それだけだろう。まあ興奮していることは事実だろう。しかし捜査には影響しか出ない。困った捜査員だ、佐々木刑事はそう思った。
ホールでの調査を終え、佐々木刑事が帰ろうとすると後ろから嘉実が来た。
「今日の捜査員酷すぎる。いくらさ、有名人だからって普通あんなに興奮する…?仕事中なんだから仕事に集中しろっつうの。」
嘉実は幾ら何でも、と言いたくなるレベル怒っていた。つまり失望していたという訳だ。
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