紐の解き目はどこに存在するか?
翌日、劇団「白い白鳥」の事務所がある鬨俵市の南部に佐々木刑事は来ていた。事務所自体には「劇団」要素が一理もなく、佐々木刑事には土木事務所系にしか見えなかった。
事務所に入ると、中には衣装やら小道具やら舞台で必要不可欠な物があった。もう使いすぎてボロボロになっているものやまだ新しめのものなど多様の道具があった。
事務所内にいた五十歳前後の男性が佐々木刑事に
「こんにちは。見学ですか。」
と聞いてきた。佐々木刑事は初めて事務所の見学が可能であったことを知った。
「いえ、渡部の友人であり、警視庁捜査一課の刑事です。昨日の事件の被害者の情報は事務所にあると聞いてきました。」
目の前にいる人物が捜査一課の刑事であることに驚いたのか、事務員は言葉に詰まってしまった。石化した体を事務員の熱いハートが砕き、資料を机から取り出した。
「こちらが資料です。被害者の
事務員は自ら資料のページを開き、佐々木刑事に渡した。佐々木刑事は会釈をして資料を眺めた。その資料には驇織の住所等の個人情報が記載されていた。それを見ると驇織の住居は鬨俵市の西側にあるということが分かった。佐々木刑事はまずは鬨俵市の西部に行ってみることにしよう、そう決めた。資料の住所をメモし、携帯電話で「これから被害者の家に行きます。」とメールで上司に送った。事務所の職員にお礼を言い、事務所を後にした。
外に出ると大雨で目の前が見えない程度まで雨が降っていた。佐々木刑事は持ち合わせていたビニール傘を差して被害者の家に向かって歩き始めた。
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