事件の解決へ

 佐々木刑事は葛西係長が言っていた通りにメールを見ると一件のメールが届いていた。中身だけで言うと“課長の話を持ったままデスクで待つこと。私が来るまで今回の事件の捜査資料を確認すること。”だった。佐々木刑事はそのメールを見て、電話で怒鳴られた時よりも焦りを感じた。そして急いで警視庁に向かった。

 佐々木刑事が警視庁に戻ると葛西係長が入り口の目の前で顔を強張らせて待っていた。しかし葛西係長の口からは一言も語られることがなく二人のデスクがある部屋へと進んでいった。部屋に着くと佐々木刑事が葛西係長に謝ろうと口を開こうとすると葛西係長が言わなくていい、そういう仕草をして口を閉じさせた。

「その件はもういいんだ。佐々木、課長から何を言われたのか教えてくれ。」

葛西係長は早口でそういうと自分のデスクに座った。佐々木刑事は順を追って輾隹キシトリ捜査一課長に言われたことを報告した。葛西係長は時々話の腰を折り、質問しながら話を聞いていった。葛西係長は佐々木刑事の一連の話が終わると、

「じゃあ、課長の指示通り驇織タリシキの事件とどういう関係があるのかから調べることにしますか。」

と言って驇織の事件の調査書をデスクに持ってきて

「おい、武田の家から押収した事件と関係あるものをこの調査書と照らし合わせるぞ。」

と未就学児のような笑顔で言った。

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