謎の人物の行方

 佐々木刑事・葛西係長が三人の捜査員を残してから五分ほどしてその三人の捜査員は事務所から出てきた人物の車を二つに分けて覆面車で追った。何とか見失うことなく終えているというのが今の状況だ。三人の捜査員たちは追うだけでなく、本庁にいる他の捜査員との連絡も行っていた。GPS機能を利用しつつ、この道の先は何処につながっているのか、何処に行こうとしているのか本庁の捜査員との協力によって謎の人物が下りた場所がすぐに特定された。そこは“鬨俵トキワラ文化財保護会館”だった。その会館は二百年ほどの歴史があり、会館の建物を含めた市内の二十余りの文化財を紹介、保護している鬨俵市立の会館なのだ。


 会館は今日は定休日で空いておらず、これといって勤務者以外で訪れることは極めて異例の事態である。三人の捜査員の一人が車から降り、その例の人物に声をかけた。その人物が振り向いたときに顔にはマスクとだてメガネが見受けられた。よく見るとそこにいたのは降谷香理だった。捜査員対話驚いたようではありつつも、どうしてあの事務所に行ったのかなど軽く聞いていると佐々木刑事から電話がかかってきた。「降谷香理を重要参考人として所轄の警察署に連れていけ。降谷からの聴取はそこでやる、俺も行くから。任せたぞ。」一方的な電話ではあったが、三人は言われた通り降谷を重要参考人として所轄の警察署に連れて行った。

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