証言

 降谷を重要参考人として所轄の警察署に連行してから十分ほどたってから佐々木刑事は降谷がいる警察署に到着した。佐々木刑事は降谷のいる取調室に直行した。降谷は所轄の署の刑事に取り調べされていた。佐々木刑事は取調室に入っていって、その刑事に交代してくれるように頼んだ。その刑事は目の前にいるのが本庁の捜査一課だと分かったのか何も言わずに席を譲った。佐々木刑事はその刑事に一礼すると、席に深々と腰かけた。


 佐々木刑事はどうしてあの事務所に立ち入っていたのかとまず聞いた。すると降谷は「あそこの事務所の方と知り合いでシロアリが出やすい夏の時期に薬を撒いてもらっているんです。今年はいつ来るのかとかそういう話をしに行ったんです。」佐々木刑事はなんと聞いたらよいのか迷った。事務所に立ち入る理由がこんなに簡単に答えられてしまうなんて想像すらしていなかったのだ。佐々木刑事は「ああ、そうなんですね。」と言って誤魔化すしかなかった。佐々木刑事は次の質問で黙らせて事件への関与を認めさせようと口を開けた。「ではなぜ定休日であるのなのに鬨俵トキワラ文化財保護会館に行ったんですか。最近定休日が定められた訳でもないのに。」すると降谷の口から驚きの言葉が出てきた。「文化財保護会館で何かがあるらしいって武田伸之さんが。」

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