被害者の家
翌日、大分から東京に戻った佐々木刑事は警視庁で予め貰っておいた被害者の写真を持って被害者の住んでいた大田区に来ていた。
佐々木刑事はまず大田区役所に行き、山口健二郎の自宅の位置を教えてもらった。
彼は大田区役所から歩いて十分のところに住んでいた。
さらに山口の家族構成も教えてもらった。
彼は独身の四十三歳で、旅行雑誌の編集者だった。
それで大分にいたのだろう、そう佐々木刑事は思った。
佐々木刑事は大田区役所職員に礼を言い、区役所を後にした。
区役所から十分ほど歩いた佐々木刑事は山口の自宅に来ていた。
佐々木刑事は“山口”と書かれた表札の隣にある家の人が除草作業をしていたので、声をかけた。
「お隣の山口さんはどんな方ですか。」
「すごく優しい方だよ。近所のおばあちゃんの分まで買い物してくれるからね。」
佐々木刑事はこんなに優しい人が被害にあってしまったことに悲しみを感じた。
「どうしてそんなことを聞くんだね。」
「実は山口さん、大分県で事件に巻き込まれてしまったんです。なので捜査の一環としてお話を伺ったんですよ。」
隣の家の人は驚きを隠せなかったのか、顔が青ざめている。
「まだ亡くなったわけでわないですから。」
どうにか言葉を継いで話を続けようとした。
佐々木刑事は聞き込みこそ重要な捜査の行為だと心得ているが、これほど苦手なものはない。
いつも話を繋げることだけで精一杯だ。
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