捜査一課の方針
翌日、被害者宅の家宅捜索を終えて捜査方針を新たにした捜査員たちはそれぞれが任された情報を集めるために外に出ていた。佐々木刑事は被害者が持っていた“㊙資料”の中身を調べていた。中には劇団内の不倫やニュースに出ている内容の真相等が詳しく書かれていた。つまり
♪テゥルルルル♪
佐々木刑事の携帯電話が鳴った。画面には”非通知”と記載されている。誰が掛けてきたんだ、そう思いながら佐々木刑事は電話に出た。電話の相手は驇織のアパートの管理人だった。
「驇織さんの借りているアパートの管理人です。驇織さんの部屋のお隣の田島さんがつい先ほど帰宅しました。彼女に聞いたところ、今からだったら話すことができるとのことでした。」
佐々木刑事は管理人の話を聞いて、すぐにアパートに向かった。
佐々木刑事がアパートを訪れると、アパートの前が管理人がこっち、こっちと手招きしていた。管理人に促されてアパートに入っていった。204号室に来ると、二十前後の女性が立っていた。その女性が「私が田島美幸です。」と名前を自ら教えてくれた。「警視庁捜査一課所属の佐々木です。」佐々木刑事は言うのと同時に背広の胸ポケットから警察手帳を取り出して田島さんに見せた。「中へどうぞ。」田島さんが玄関を開けながら言った。佐々木刑事は一礼して中に入った。
田島さんの家は清潔感溢れる仕様になっていた。不意に田島さんが「有佐ちゃんのことで話があるとのことでしたよね、刑事さん。」と佐々木刑事に向かっていった。「本題に入りますね。」佐々木刑事は元気よく言った。「驇織さんの普段の様子について伺いたいのですがよろしいですか。」佐々木刑事は刑事の顔になって話した。それに応えたのか、田島さんも真剣な顔で話し始めた。「有佐ちゃんは劇団に所属していたのは調べがついていると思います。ここだけの話だけど、彼女は劇団に内緒で新潮社所属の記者でもあったんです。主に劇団内の秘密情報を書くことが仕事だったらしいんだけど、他のもたま書いていたって本人から聞きました。」佐々木刑事は満足した顔をして、「ありがとうございました、参考にさせてもらいます。」と言いアパートを逃げていくように警視庁に帰った。
警視庁で佐々木刑事は管理官に田島さんから得た情報を報告した。管理官は満足そうな顔をして、「やはり事件は驇織の秘密を暴いたことが関係ある。その線で捜査するように伝えておく。」と言った。
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