謎のファックス

 輾隹キシトリ捜査一課長と深刻に話をした葛西係長と佐々木刑事は捜査一課長室を出て、デスクのある部屋へと戻った。紙を吐き出したあのファックスは静かに寝ている。佐々木刑事は輾隹捜査一課長と葛西係長が顔色を変えたファックスの内容を知りたくて遂に口を開いて単刀直入に葛西係長に尋ねた。

「葛西さん、さっきあのファックスから出てきた数枚の紙には何が書かれていたんですか。」

葛西係長はやはり聞いてきたよ、という顔をして

「分かった、教えてやる。ただ自らの口で語るのには恐怖しか感じない。実物が見せられればいいのだが実物は捜査一課長が持っている。後でコピーが回ってくると思うからそれまで待ってくれ。」

 それから一時間くらいしてから捜査一課の刑事たちにファックスのコピーが配られた。紙は五枚で赤、黒、緑、青、黄のそれぞれの色で文字を構成していた。すべての紙に共通しているのは同じ文字が無数にそして紙一面に印刷されていることだった。赤文字の紙には「次」が、黒文字の紙には「は」が、緑文字の紙には「輓バン」が、青文字の紙には「馬」が、黄文字の紙には「!」が、それぞれ印刷されていた。葛西係長と輾隹捜査一課長の顔が青ざめるのもよくわかる内容だった。そして輾隹捜査一課長が下した捜査の拡大もするべき内容で、捜査員皆が身を引き締めて捜査しなければならない重大な殺人事件ということになる。今頃殺害予告をされた人のもとへ捜査員たちが警備を始めたはずだ。これ以上事件を大きくしないために……。

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