第36話 冒険者ランク
火山エリアのクエストに行こうと思ったが深刻なランク不足によりいく事が出来なかった...
冒険者ランクは一番下がFランクで最上位がSSSランク。ランクは達成した依頼の量で決まるらしく規定量のクエストをこなすと昇格試験が待っている、私達は登録したばかりなので、最下位のFランク、当然のように受けれるクエストが少ない。
受けられる依頼は王都周辺で出来る事が主で、別のエリアに行くにはランクE以上が必要となる。それも、今私達が行きたい火山と氷山に行けるようになるには冒険者ランクC以上が必要になる...。
「Fランクで受けられる依頼は...採取かぁ...」
「いまさら採取はなぁ...」
どうやらシリュウも同じ考えなようだ。
このレベルになってまで、何故アイテム採取をしなければならないのか...。
「あっでもこの依頼の素材持ってますよ、使えるといいですけど」
「できるんじゃない?」
依頼文を読み、必要なアイテムと自分の手持ちアイテムを各々確認する。
あれ?大半の依頼こなせるなぁ...。
Fランクで受けられる依頼の総数は30そのうちの28のクエストが手持ちのアイテムだけで達成できる。
手っ取り早くすべての依頼を完了させた。
その結果、ランク昇格クエストを受けられる事になった。
「レッサーラビットの討伐....いまさら...」
まさかの野兎討伐にテンションは急降下だ。
まぁ楽なので手っ取り早く完了させる。
「イチゴは平気?」
「なにがです?」
ちらりと見てみればイチゴは既に兎の死山血河を築き上げていた。
平気そうでよかったよ...ほんと心配して損した。
私ですらステータスが6桁あるのに相手をする野兎は2桁...ちょっとバランスが崩壊している気がしなくもない...。
という訳でEランク昇級試験合格!
晴れて私達はEランクになった。
Eランクのクエストはさらに味気ない内容だった。
低位の魔物の討伐と聞けば楽し気だが...実際は、野兎や餓狼、他にはゴブリンの小隊など...弱いものばかり、その癖討伐数だけはあるので、面倒と言うほかない。
「飽きた!!」
ホープが頭を空っぽにして叫ぶ。
私も叫びたかったが、皆の手前それは出来ない。
ホープ以外は坦々と仕事をこなす。HP的にホープはこの程度の敵ですら致命傷になりかねない、まぁ攻撃を受ける直前でも避けれるだろうけど。
ややあってDランク昇格試験のメインターゲットである低級悪魔も余裕で討伐だ。
そして...Cランクの昇格試験のロックゴーレムも楽々討伐だ。
1日で目標のCランクへと至った私達はもう夜も遅いので一度宿屋に戻る事にする。
「ミルクとルー仲良く出来てるかなぁ」
「母性が溢れる~とか言ってたし大丈夫じゃない?」
「シリュウ...それ何も大丈夫じゃないよ...」
シリュウの言葉に嫌な予感がするが...流石に後輩に手を出す事はしないだろう...。
不安な思いを抱えつつ宿屋の階段を上がっていく、すると何故か部屋の前に白い謎の球体が居た。
「なにこれ...」
「解、個体名シープの発毛スキルです。この羊毛の中にシープの生命反応を確認。刈り取りますか?」
「う、うん...」
この丸い球体...シープなの?
なんで?という疑問は残るが...まぁシープに直接聞くとしよう
未だにウトウトしているシープを揺さぶり起こすとシープはぼーっと虚空を眺める。
「おーい。シープ~お~い」
「寝てますね」
ビタンッ!
イチゴによる強烈なビンタが炸裂し、シープはたまらず目を覚ました。
イチゴはやる時はやる子なのだ...ひどいと思ったのは内緒。
「こんな所で寝てどうしたの?ミルクは?」
「ミルク...ミルク...そう!たしか...ミルクにシーは...」
シーとはシープが自分の名前を呼ぶ時に使う別称みたいなものだ。私はシープの方が口馴染みがあるのでシープと呼んでいるが、この子は自分の事をシーと呼ぶ、まぁどっちもかわいいからどうでもいいけど。
シープは頭を深く抱え深刻な表情を浮かべる。
「ミルクは?中?」
「うん、たぶん...そのはず...」
要領を得ない回答を受け取り、私はドアに手を掛けた。
「ん...開かない...反魔法?」
「告、解除できます。解除しますか?」
「うん解除して」
「了」
ドアをガチャリと開くとそこには...ルーを赤子の様に扱い授乳しているミルクの姿があった。
ルーを腕で抱え幸せそうに頬を紅潮させ目は蕩けている...。
これは...駄目だわ...。
「ミルク?何してるの?」
「ルーちゃんのご飯中ですよ~」
こいつは一体なにを...
「う~~☆」
そしてルーに一体なにが...
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