第40話 炎耐性を得るために

 火山エリアには一風変わったモンスターが徘徊していた。

 ゴーレムはゴーレムでも、溶岩を体内に溜め込んでいたり、狼っぽいのは鬣に炎を纏っていたりと、今までのエリアの魔物とは異なる。


「ん~溶岩使う奴はいても溶岩の川は無いね~」

「告、もう少し進んだ先に流動的な熱源反応があります」


 リンゼの報告があるってことは、溶岩の川がこの先にあるのだろう。

 歩いてみれば本当に溶岩の川が流れていた。


「よし、じゃあシリュウ。試しに浸かってみてみてよ」

「え、なんで私が...」

「鱗纏いがあるから大丈夫でしょ?足が地面に着かないなら巨大化してもいいからさ」

「まったく...竜使いが荒いよ...まったく...」


 シリュウは特に巨大化する事もなくグツグツと煮え滾る溶岩の川に浸かる。

 中心部分まで進み振り向き表情を緩ませる。

 こいつ...ひょっとして、溶岩の温度レベルでようやく暖かいとか感じてるのか?だとしたら...はぁ...

 まぁひとまずは私でも浸かれるかの確認が最優先だ。


「どう~?どんな感じ~」


 シリュウは少し考えた後、本当にそう思ってるのかわからないが、私にも浸かれると言う。


「ほんとでしょうね?」

「うん!たぶん少し暖かいくらいだと思うよ~たぶん」


 まぁどうせ死んでもリスポーンするからいいか...

 早々に考える事を止めてマグマの川に飛び込む。

 何かが焼ける音と共に、意識は遠くなっていった。

 —――――――――――――――――――――――

 ミーシャが川に飛び込むとありえない程のダメージがミーシャの横に浮かび死亡と表示される。

 あっ死んだ。

 それでも疑問は残る、火耐性が無いとはいえ一瞬で死ぬのだろうか?火脆弱系スキルとかが関係しているのではないだろうか、人間が火に強いイメージは無い。


「お嬢様の死亡を確認。帰宅します」

「ちょっと待ってリンゼ!!」


 もう帰った...。

 リンゼはリスポーンするであろう都市に戻り、待機する。

 残されたのはシリュウとホープ、それからイチゴだ。


「あぁぁぁぁミーシャァァァ...また私は...アァァァ....」

「まぁまぁ、イチゴのせいじゃないんだし、それにしてもなんで死んだんだろ...」


 イチゴは半狂乱状態に移行する。ミーシャが死ぬ事はかなり減ってきたが時々死亡する。そうすると守れなかったと言って発狂する。その割に、生き返った本人を前にすると、別に心配していなかったような態度を取る。素直に心配してあげればもっと仲良くなれるのに...。

 ミーシャが燃え尽きた理由をホープと模索する。ついでに、これより簡単な炎耐性獲得方法も。


「あのダメージ表記の感じ、溶岩はHPの全体割合??」

「てことは100%ダメージ?」

「ミーシャ....うぅ...ミーシャ...」


 あぁ納得だ。

 元々溶岩はHPの100%を減少させる、ただ、耐性を獲得すると減少の割合が減っていく...私はすでに完全耐性を獲得してるから減少割合が0%って事?

 まぁ人間がマグマに浸かったら死ぬか....まぁ死んだもんな。


「じゃあやっぱり、モンスターが使う炎で炙るぐらいしか方法はないのかなぁ...」

「せっかく帰るのだから炎耐性のポーションとか買ってみたらどうかな?また死んじゃってもかわいそうだし...」


 ホープの意見を全面的に肯定する。私だって死んでほしい訳ではない、まぁそれが最高効率なら死を選ぶかもしれないけど。

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