第23話 相性...バッド
【大森林エリア】そこは木々の生い茂るエリアで主に生息するモンスターは肉食系も多少はいるが、メインとなって襲って来るのは虫や草タイプの魔物ばかりだ。
毒蛇。麻痺蜘蛛、眠り花。状態異常のオンパレードが続く。
序盤の毒はただの毒なので即死する事はない、だが...この先を鑑みれば様々な状態異常の耐性を持っておいた方がいいのは明白だ。
この世界は自分の体験した事が経験値となりスキルに還元される、つまり、弱めの毒を浴び続ければやがては毒耐性を獲得し、麻痺し続ければ麻痺耐性獲得できる。
つまり、私の魔法が役に立つ時が来たのだ。
私の低い魔法攻撃力なら、人体に影響は出ない、それは魔法としてどうなのかとも思うが...この際どうでもいい。
スキル獲得の足掛かりとなるなら、弱い事さえ誇らしいのだ。
「ん~」
試しに影響の少ない麻痺からだ。
毒で試して仮に効果があった場合、ホープなんて下手したら死に兼ねない。それなら、ダメージの無い麻痺で試すのが手っ取り早い。
試しに安全な場所で麻痺霧を出してみると身体全体に微弱な電気が流れたような感覚が続く。
痛みは無い、身体も動かせない訳では無い。なんの為に覚えたんだ?この魔法...。
「きゅう~」「私耐性が中になった~。だそうです」
「え、いっきに中?」
「きゅう」「鱗纏いのスキルに全耐性小があるからたぶん上がりやすいんだと思う。だそうです」
羨ましい...。
ドラゴンの肉体とはそれほどまでに高性能なのだろうか...。イチゴは元々雷耐性を所持しているので麻痺にはならない、ホープも雷纏いのスキルを所持しているので、麻痺の影響はない。
そう。影響があるのは私だけ。
耐性を所持していない私ですら普通に動ける位には影響がない。
小一時間程MPを回復させては麻痺霧を使い続けているが、一向に耐性を獲得できる気がしない。
そこで...この膠着状態を見かねたのかイチゴが一つの作戦を立てる
「私が使ってみます」
「イチゴ?使うって?」
「麻痺霧です。なんかずっと居たら、魔法を習得できたので」
「おっけ~じゃあお願い」
あぁ後悔とは何故いつも先に立たないのか...。
イチゴが麻痺霧を使い周囲に霧が満ちた瞬間私の身体に電撃が走った様な感覚が続く。
「あが、あががががががッ」
「ミーシャ?!?!」
麻痺霧の中心で痙攣する私をシリュウとホープが慌てて救出する。
若干...快感まで覚え始めた頃ようやく私は救出される、感覚で言えばくすぐられてもう限界なのにやめてもらえない感覚に近い。
妙に体が熱いがとりあえず目標は達成できた...
「ハァ...ハァ...は...ま、麻痺耐性...中...獲得...ぶい...ガクッ...」
「ミーシャ...なんて不器用なの...」
脱力感に支配されながらもVサインと精一杯の笑顔を見せその日の戦闘は私だけリタイアすることになった。
一度拠点まで連れていかれた私はミルクとシープによってまたしても介護された。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ミーシャをミルクとシープに任せ私はイチゴとホープを連れ大森林を探索する。
生い茂る森を進むと魔物が現れる。
手始めに蜘蛛の魔物のステータスを表示させる
Lv:60
名前:「 」
種族:【
職業:【 】
称号:【 】
HP:4000
MP:3500
ATK:1000
DEF:4500
INT:2000
RES:4500
SPD:4000
スキル:【頭突きLv20】【噛み付きLv10】【糸吐きLv50】【粘糸Lv40】【麻痺毒Lv20】
この辺りのモンスターは大体がこの強さの様だ。
大体が4桁以上。
流石に...
「ミーシャにはまだ早いね」
「どうにかしてレベルとステータスを上げないと...」
「この先はもう、ミーシャにとっては地獄...う~ん...」
三人で頭を悩める。
前衛を私達が務めることで、後衛に回したミーシャをカバーすれば何とかなると思い、皆で話した結果、魔法を覚えさせて後衛として成長してもらう。
その為にみんなは必死で魔導書を集めた訳だが...何故かミーシャは今のレベルでは扱えもしない魔法をいくつも覚えており、前途多難に思えた...。
そもそも、魔法攻撃力が低いのでさっきの様に、状態異常系の魔法ですら効き目が薄い...さてどうしたものか...。魔法攻撃力が関係なくて今の攻撃力を最大限に生かせて...遠距離攻撃が出来る武器...
「弓とかどうかな?」
「弓...ですか...」
「当てれるかな...」
「それは...どうだろう...」
ホープの言った事に言葉を詰まらせる...。確かに弓を放てたとして当てれるかは完全にミーシャの技量にかかってくる、今の所短剣を振り回しているだけの彼女に標的を遠くから狙えるだろうか...正直、子供にはまだ早い気さえする...。
だが、現状のパーティー構成だとそれが妥当なのかもしれないと理解できるのか二人はさらに頭を悩ませる。
現在は神風ホープの超攻撃的アタッカー。汎用性のある私とイチゴはステータス的に大体のポジションは補える。だが、どちらかと言えばイチゴは前衛で私は後衛。
竜のブレスなどの遠距離攻撃を持ち得ているので正直攻撃魔法は必要ない...必要だと思うクラスは...相手の攻撃を受け止めるタンク、後は索敵能力に優れているアーチャー。あとは...
「ヒーラー!!!そうよ!僧侶になって貰えばいいじゃない!それなら私達も助かるし、貢献度で言えばかなり高いからミーシャも気分いいんじゃない?!」
「私達にヒーラー必要ですか?」
ホープ...
またしてもホープに核心を突かれ、言葉が詰まる。
それじゃあ...。
「ホープが回復を必要とする機会はほぼ無いでしょう。どうせ当たったら死ぬんですし、でも、私達は違います、傷がつけば回復が必要になります」
「あっでも私は鱗纏いに自動回復効果があるからある程度なら回復必要ないかな...あっ...」
つい言ってしまった...自分でも理解していた。私にヒーラーのサポートは必要ない、そもそも、今のミーシャが回復魔法を使用したとして、私のHPを回復する事は出来ないだろう...理解していた...理解していたが...。
「まったくこれだから上位種族は...」
「まったくですね」
2人の呆れた表情が辛い...。
本当はステータスも偽装しているけど二人には内緒だ...。
ここだけの話、私のステータスは既に7桁...平均150万程にまでになってしまった...。
これには深淵よりも深い訳がある。
私は夜中いつも空腹に襲われる。
何か食べなければ理性を失いそうなほどに。
恐らく飢餓感の原因は私の持っている特殊スキルの【暴食】が間違いなく関与している。
流石に隠しているが...バレるのも時間の問題だろう。
なので、飢餓感に襲われる度に丘に居る竜達を摘み食いしたりしていたらいつの間にかこんなステータスになってしまった。
魔導書なんかもそうだ、イチゴとホープ達は話し合ってから探したかもしれないが、私は持っていた魔導書の一部を出しただけに過ぎない...たった一日程度であれだけ集められる訳が無いのだ。
イチゴとホープが隠している私のステータスを知っているのかは分からないが上位種族と言う言葉は私に刺さる。
最初から私とミーシャのステータスがかけ離れていたからだ。
それは竜と言う種族が生物の頂点だからに他ならない。
でもまぁ...ステータスが高くて苦労した事は無い、飢餓感がたまに傷だが今は私の事は置いておいて、ミーシャのクラスについて考えよう。
ちょっとそこら辺を一掃して、弓系の武器や矢を手に入れるべく私達はのんびりと森の中を進んだ。
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