第35話 奴隷

 新たに奴隷が仲間に加わった。

 名前は呼びやすい様に【ルー】と付けさせてもらった。

 ミルク、シープと並ぶ生産職に育ってもらう予定で、その中でも、衣類の製作を主に育ててもらう。黒髪のゆるふわロングなルーは控えめな性格をしている、今の所は...。


 NPCの性格。その刷り込みは5年で大半が決まる。

 子供で言う、幼少期と同じで、性格が定着するのだ。

 リンゼは特殊で、何も教育しなければ、機械的なままだろう、だけどルーには最初の販売の段階で性格がある程度決められている。ある程度は改変できるようだが、その後は...5年が経つと性格の変更が難しくなるらしい。


 つまり...ミルクとシープの性格は既に改変不可...挑発癖も...淫乱癖も治すことは出来ない。

 それを知った私はショックを受けたが、これも彼女達の特徴なので、嫌いな訳ではない、ただ...面倒なだけ...。


 変な性格がルーに定着しないようにすれば問題ない。今の控えめな性格もかわいいのだから。


 性格の話は置いておいて、次は仕事の話だ。

 衣類の製作。最初から適性のある子を選んだので、最初から作業に支障はない。

 それに、私達が求めているのは、防御面ではなく機能面、ようは特殊スキルがどれだけ付与されているかだ、目指すは機織りと付与魔法のエキスパート。


 戦闘面での衣類もそうだが、普段着の製作も行ってもらう。

 本気で戦闘をする時と、ちょっとしたお使い程度の戦闘では、本気度が違う。

 毎回勝負服で行くのも面倒なので、ラフな格好になれる服が欲しい。

 鎧を身に着けた状態で寛げる訳がないのだ。


 普段着は外見重視だ。スキルなんて付与されてなくていい。せめて【防汚】くらいあってくれると嬉しいけど...。


 技術レベルが低い内はそこそこの外見とそこそこの付与がなSれているものしか出来ないだろうが...いずれは...それこそ神話級の装備や衣類を作ってもらいたいと願っている。


 まぁしばらくは換金用だけど...。

 生産職の先輩として、ミルクとシープに教育は任せる。私とシリュウ、イチゴ、ホープは戦闘で役に立ちそうな物を王都で探す。

 小一時間ほど歩き回り見えてきたのが冒険者ギルドと呼ばれる建物だ。


 冒険者登録は多少の手数料であっと言う間に完了した。


 賑わう酒場の掲示板を皆で眺める。


「これなんてどうでしょう」


 イチゴが指さすクエストは一般的な討伐クエストだ。

 森に出た餓狼の討伐。


「んーメリットがなぁ...」

「うぅ...」

「問、どのようなクエストをご所望でしょうか」


 リンゼの問に頭を悩ませる。

 今欲しいのは、火耐性、熱いのは我慢できない...乙女として服を脱ぐのは当然無しとして冷気耐性も欲しい所だ。

 現状徒歩で火山や氷山に行くことが出来ない、だがしかし!!このようにクエストを経由すればいく事が出来る。


 クエストの開始はテレポートにて行われる。つまり、クエストを受け、王都から出発すれば、行ったことがない未知のエリアへの探索が可能となる、そして、そこでショートカットのポータルを繋げば、クエストを経由しなくても、いく事が可能になる。

 さてさて、まずは...火山関係のクエストに...おっあった!


「よし!じゃあこれを受けよう!サラマンダーの討伐!」


 ピコン!

《クエストの受注条件を満たしていません》


 えぇ...

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