17話 室戸相撲大会


 室戸相撲大会の決勝進出者・・  

 1人目は村娘の「おいも」に決定!

 

 二人目の決勝進出者を決める…

 次の取り組みは…


  「土佐藩家老」VS「五助(室戸岬の漁師)」





   家老の控え室では・・


家老 「久しぶりの回しじゃ・・腕がなるの~」


家臣AB 「家老様、後武運を・・」


家老 「フッフッフ・・ワシも若い頃はバカ(悪さ)ばっかりやって来たが・・久しぶりに大暴れできそうじゃ・・」


家臣AB 「家老様の勇ましき姿を期待しております!」


 土俵上では・・

 すでに五助が待つ・・


五助 「・・・。(やっぱり、おかあの言う通り、家老様には勝っちゃいけない)」


 五助を見つめる高僧は、


高僧 「・・・。(この男の名前は・・なんじゃったかの~?)」


 その時!

 家老が登場!


家老 「おい、お前達(家臣AB)・・」


 家老は家臣に合図を送ると・・


家臣AB 「室戸の民よ! この試合! 家老様が勝てば! みな一人一人に1文(現在で20円程度)の祝儀を与える! みなのもの!家老様を応援するのじゃ!」



室戸の民全員 「金をくれるのか? それなら…老様ー!! 家老様ー!!」


 会場全体が家老を応援・・!


 その状況を頷いて見渡しながら、

 家老は土俵上に・・



家老 「これ五助! 遠慮はいらぬ! 全力でかかってくるがよい!(笑)」


五助 「へい・・」


高僧(行司) 「・・・。(たったの一文か? 土佐藩家老もせこいの~・・)」



 試合開始!


高僧 「時間です。 はっけよい・・」


 家老と五助は腰を落しました




自信満々の家老 「はっはっはー!(笑)」

憂鬱な五助 「・・・。 (まあ・・ワザと負けるのは難しいから・・力を抜いて相撲しよう・・)」


 二人は手をつきました!   


 その直後! 家老の腰に衝撃が!


家老 「あう! (持病のぎっくり腰が!?)」


 家老はぎっくり腰で立つことが出来ず座ったまま・・

 それを見た五助は・・


五助 「どうしたんですか? 家老様が立たないと相撲にならんです」


家老 「ううぅぅ」


高僧(行司) 「家老殿? 真剣にやってくだされ・・」


 すると・・

 脂汗を垂らす家老…


家老 「高僧殿に五助よ・・どうやら、腰を落とした時に腰をいためたようだ・・」


五助・高僧 「それで?」


家老 「ようするに立つことが出来ないのだ・・どうする?」


 高僧は座ったままの家老を見ながら・・


高僧 「それは弱りましたな・・もう、試合は始まってしまいました」


家老 「取り直しはできんのか? おそらく・・少し揉めば良くなると思うが・・」


高僧 「無理です。 一度、両者の手が地面についた以上、決着をつけないと・・」


家老 「さようか・・・ワシも武士じゃ・・最後は潔く・・」


 家老は五助にトドメを刺せという目を送る。


五助 「家老様・・失礼いたします・・」


 五助は・・座ったままの家老の両肩を掴みました・・


家老 「五助よ・・ワシの負けじゃ・・とどめをさせい・・良い試合であった・・」


五助 「では・・」


 五助が押すと家老はコロリっと転びました・・


高僧 「勝負あり!勝者五助! (これまでで一番・・酷い試合じゃったの~・・)」



五助 「おかあ! おとう! 勝ったぞ!」




五助の両親 「まあ・・家老様がぎっくり腰になってくれて良かった・・」


 しかし! 室戸の村人は!


村人全員 「こら五助! おまえのせいで! 一文もらえなくなったじゃねえか! 空気を読まんかい!(怒)」


 五助に罵声を!


 その時!


 五助が!


五助 「皆の衆! 静かにしろい!」


村人全員 「なんやと!(怒)」


五助 「ワシが優勝したら! 米も金もおまんらに分けちゃう!」


村人全員 「!!!」


五助 「ワシが欲しいモノは・・米も小判も欲しいが・・ココまできたら・・優勝や!みんなワシを応援してくれ!」


 すると!


村人全員 「五助!五助!五助!(連呼)」


 なんと! 五助は一躍! 村の人気者に!


 それを見ていた、もう1人の決勝進出者の「おいも」は・・


おいも 「ふ~ん♪ 五助って、けっこう男らしくて・・ヤルじゃない♪」



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