4話
道中…
夫 「ところで、どうやって室戸岬に行きましょうか?」
若頭 「う~ん、ソレをワシも考えとるが…」
夫と若頭は、クジラ漁の浜に行き…
若頭 「かなり危険やけど、舟で行く!! コレしかないか…?」
夫は紀州に来た道中を思い出しながら、
夫 「二人だけで逆流の海を…? たしかにかなり危険ぜよ…」
若頭 「…」
その時!!
漁師A 「若頭ーー!」
漁師Aが3人の若い漁師を引き連れてやってきました!
若頭 「おまえたち、どうした?」
漁師A 「若大将、ワシをはじめ四名、若大将にどこまでもお供します!」
若頭は目に涙を浮かべ…
若頭 「おまえたち…」
夫は自分よりガタイのいい4人の漁師を見回した後、
夫 「これだけ人がおれば室戸岬にいけるかもしれんぜよ」
漁師A 「…おい、あんた(夫)、ワシは紀州一の力持ちってので、知れ渡ってるんやで~ワシがおれば室戸岬ゆうとこまで、おちゃのこさいさいや!」
夫 「はあ…そうですか。」
漁師A 「用意した大きい舟があります。 若頭どうぞ使ってください!」
若頭 「おまえたちのため! 必ず室戸を日本一のクジラの町にしてみせるで!」
漁師達 「おー!」
夫と若頭と漁師達は西へむかい出航しました。
🌞 ☁☁ 🛸~
~~~~≡≡⛵~~~~~
夫たちが紀州をでて数日後…
おさごの家では…
隣に住む六助 「おさご~♪ 失礼するぞ~♪」
おさご 「あら、六助さん?」
六助 「今日は珍しいモンが釣れたき、おさごに差し入れじゃ!」
おさご 「コレはマンボーじゃないですか! いいんですか…」
六助 「えいって、気にしなや、おさごの夫と違って、ワシはサバ以外の魚も釣れますんで。覚えといて!(爽やかな笑顔)」
おさご 「ありがとうございます! 本当に助かります!」
六助 「どういたしまして! では~♪」
(注;マンボーは室戸では良く食べられる食材であり、マンボーの味噌煮込みは非常に美味である ※びしゃご書房より)
おさご 「みんな、やさしい人で助かるわ…みくろ洞のお坊さんからは、たくさんのキノコを頂いたし、五助さんからはイモを頂いたし、六助さんからはマンボー、農家の若い人達からはお米を、他の方にも色々とたくさん」
夫が紀州に行っている間に、おさごの家にはたくさんの食料があふれんばかりになっていました。
おさご 「こんなにたくさん食料があれば、しばらくのあいだは安心ね♪ だけど、お坊さんから頂いたキノコの中に変な色したキノコがいくつかあるのが気になるわ」
その時… 高僧が家の戸口に現れ…
おさご 「あ、キノコありがとうございます!」
高僧 「ワシのキノコは食べたか?」
おさご 「いえ、まだですが…」
高僧 「さようか? しかし…たくさんの数の食料じゃな?」
おさご 「はい、みなさんが差し入れしてくださって」
高僧は小声で…
高僧 「ちっ敵は多し…」
おさご 「は?」
高僧 「いや、なんでもない…オッホン…ところでおさご?」
おさご 「はい?」
高僧 「ワシがこの前に持って来た、キノコを料理してやろう! あの中にはな…『ムラムラダケ』というキノコがあるのじゃ…それを食べればキモチもカラダも元気になるぞ…」
おさご 「ありがとうございます!」
高僧 「うむ…(ニヤ)」
高僧はキノコを七輪で焼いてから、おさごに出しました。
おさごは笑顔で、
おさご 「それじゃあ、お坊さんいただきます」
高僧 「うむ、良~く味わって食べるがよい…」
おさごがムラムラダケを口に入れようとした時…
六助のヨメが現れました!
(注:六助のヨメとは…顔も体もヒグマの様な女である。)
六助のヨメ 「ちょっと! おさごちゃん!」
おさご 「あら、六助さんの奥さん、どうしました?」
六助のヨメ 「マンボー返してもらえん、うちく食べモノがないき」
おさご 「そうだったんですか? すいません…どうぞ…」
六助のヨメ 「おさごちゃんは悪くないきね。 帰ったら、うちの夫をシカらんと」
その時…
六助のヨメは、山積みの食料を見て…
六助のヨメ 「あら、このイモもろうてかまん?」
おさご 「どうぞ♪」
六助のヨメ 「米もかまん? 大根も? まんじゅうも?」
おさご 「え、…どうぞ♪」
六助のヨメ 「ありがとさん♪」
六助のヨメが持って来たフロシキはいっぱいに満たされ、おさごの食料は大幅に減りました。
六助のヨメ 「お? おさごちゃん、おいしそうなキノコ食べゆうやん、ワタシにも一口食べさせて!」
おさご 「どうぞ」
高僧 「そ、それは・・むうぅ・・・!」
六助のヨメ 「パクパクん~おいしいわ!こんなうまいキノコ初めて! さて…そろそろ帰って夫をシカらんと…それじゃまた」
六助のヨメはムラムラダケをほとんど食べて、家に帰りました。
高僧 「なんという女じゃ!(檄怒)」
おさご 「どうしました?」
高僧 「まあよい…残ったキノコを食べるがよい」
おさご 「いただきます!」
おさごは残ったわずかのムラムラダケを食べました。
おさご 「お坊さん! このキノコすごく美味しいですよ!」
高僧 「そうじゃろぅのう…」
おさご 「ごちそうさまでした」
高僧 「どうじゃ? だんだんキモチもカラダも? 元気になってきたか?」
いろっぽいおさご 「お坊さん…わたし…だんだん変な気分になってきました」
高僧 「おう…それはそれは…」
いろっぽいおさご 「はぁはぁお坊さん…」
高僧 「そんな目で見られたらぁ…このワシでもがまんできんぞ」
いろっぽいおさご 「お坊さぁ~ん」
高僧 「おさご~♪♪」
高僧はおさごの元に歩み寄ろうとした、
その時!
おさご 「は!? …お坊さんヨダレを垂らしてどうしたんですか?」
高僧 「あう…おさごの後ろにあるアザミがウマそうじゃ、がまんできなくてな~」
おさご 「そうですか…はい、どうぞ!」
おさごは、棘のついたアザミを生で渡しました。
高僧 「うむ…パクパク」
おさご 「ワタシ、キノコを食べたあとの記憶がない…ワタシ…なんか変なコトしてなかったですか?」
高僧 「いや、まったくしてないぞ」
おさご 「よかった♪」
高僧 「よし、今からワシがムラムラダケを山から採ってきて、また料理してやろう!」
おさご 「えっなんか悪いですよ」
高僧 「ひとの好意は受けるものじゃぞ!!(激怒)」
おさご 「ひっ!(怯え) すいません!(汗)」
高僧はびしゃごの家を出て…
急いで、ムラムラダケを山に採りに行きました。
高僧 「すぐに効能が切れたのは、キノコの食べた量が少なかったからじゃな。
もっとたくさん食べさせれば…クク」
隣の六助の家から…六助の悲鳴が聞こえました。
高僧 「すまぬ六助…南無」
高僧は山から、たくさんのムラムラダケを採り、
高僧 「これだけキノコがあれば安心じゃ…」
帰りの途中…六助の家が崩れそうなほど大きく揺れていました。
おさごの家に到着。
おさご 「お坊さん! そんなにたくさんキノコを!」
高僧 「そんなことより、キノコを料理するぞ!」
高僧はすぐにキノコを焼いて、おさごに出しました。
おさご 「いただきます!」
高僧 「残さず食べるがよい」
おさご 「はい!」
その時!
夫 「おさご! 帰ったぞ!」
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