13話 室戸相撲大会
相撲大会当日…
・・24番札所最御崎寺(大会場)・・
本堂の中には、家老と 家臣ABと、住職…
住職 「お待たせしました、これが組み合わせ表です」
住職は相撲大会の組み合わせ表を家老に渡しました。
―――――――――――――――――――――
村娘のおいも 対 村娘のおなす
六助 対 六助のヨメ
若頭 対 五助
夫 対
準決勝
おいも、おなすの勝者 対 六助とヨメの勝者
若頭、五助の勝者 対 夫、●●の勝者
―――――――――――――――――――――
家老 「なんだ? 全部で7名? こんなに少ないのか?」
住職 「米一俵という優勝賞品は破格とは思いますが何故か…少ないんです」
注:六助のヨメが村人達を脅したため
家老 「勝ちあがり戦(トーナメント戦)だろう? 最低、あと1人は欲しいな」
住職 「おっしゃる通り」
家老 「どうにかせんとな…」
・・・相撲大会出場者達の控え室・・・
おいも 「おなす! 若頭やっぱり出るんだって!」
おなす 「やったー! うふふ、あの顔の、おの男らしい若頭の胸板に触れられるなんて…最高♪」
おいも 「ああ~愛しの若頭様…若頭様と相撲してワタシが怪我したりしたら…きっと…」
おなす 「ちょっと! おいも! ワタシが怪我するのよ!?」
夫は近くで座っている、行司を務める高僧の方を見てアイコンタクトを…
夫 「… (坊主♪ しっかり頼むぜよ♪)」
高僧 「… (うむ、南無阿弥陀仏…)」
その時、
相撲大会の見物席には家臣Aが現れ大声で・・
家臣A 「室戸の民よ! 現在、相撲大会の出場者は7名じゃ! 勝ちあがり戦をするにはもう一人必要じゃ! 誰か我こそはという者はおらんのか!?」
会場の観客はヒソヒソと話すだけの反応…
しかし…
家臣A 「そうか…お前達…米一俵では不服なのか! いいだろうコレを見ろ!」
家臣Aは小判を一枚フトコロから取り出し!
高々と上げました!
室戸の村人達 「!!!」
おさご 「!!!:
家臣A 「この小判は家老様から優勝した者への祝儀じゃ!米一俵と小判一枚!おぬしらは欲しくないか!?」
室戸の村人達は…ざわつきだしました…
家臣A 「では…出場したい者がいれば奥の本堂にくるがよい…」
・・奥の本堂・・
家老 「ちゃんと言ったか?」
家臣A 「はい。 小判で、村人はだいぶ反応してました」
家老 「そうか…だれか来れば良いが…」
その時… 障子がス――っと開き、
??? 「ワタシ…出場しようと思います…」
家老 「ほう? おぬしが出るか? これは…おもしろくなりそうじゃ」
??? 「夫だけでは不安ですので…」
家老 「これでキマリじゃ…組み合わせをこうじゃ…」
―――――――――――――――――――――
村娘のおいも 対 村娘のおなす
六助 対 六助のヨメ
若頭 対 五助
夫 対 おさご
準決勝
おいも、おなすの勝者 対 六助とヨメの勝者
若頭、五助の勝者 対 夫、おさごの勝者
―――――――――――――――――――――
・・・相撲大会出場者控え室・・・
夫 「おさご! おまんも出るのか!?」
おさご 「はい♪ 急に出たくなりました♪」
注:小判一枚に目がくらみ
夫 「ワシの一回戦の相手が、おさごか? 楽勝やの~♪」
おさご 「日ごろの、あなたへのウップンを晴らします…」
近くで、おさごと夫の話しを盗み聞きする五助の姿が、
五助 「おさごも出るなら…ワシも負けれられん! 一回戦の相手、若頭を投げ飛ばして村一番の人気者になっちゃる!」
その頃… 若頭の控え室では‥
漁師A 「若頭? 足の調子が?(汗)」
若頭 「ああ…おさごの夫との相撲の稽古中に…ヒザの靭帯を痛めたようじゃ」
漁師A 「棄権しましょう? かなり悪そうです」
若頭 「大丈夫…心配するな」
🌸🌸相撲大会は始まりました!🌸🌸
最初の取り組みは「おなすvsおいも」
土俵の回りには、
室戸中の村人達(室戸の全村人100名前後)が集まってました!
室戸の村人達 「おいもー! おなすー! がんばれー!」
家老 「ところで住職…この取り組みの見所は?」
住職 「おなすの家は農家でナスは耕しています。 おいもの家は農家でイモを掘っています」
家老 「・・・」
向かい合う室戸の村娘…
おいも 「おなす!負けないわよ!」
おなす 「おいも!負けないわよ!」
高僧(行司) 「時間です! 両者見合って・・・はっけよい・・」
おいも 「ごく…」
おなす 「ごく…」
両者の手が土俵につきました!
高僧 「のこった!!」
おなすの激しい張り手がおいもの顔を襲いました!
張り手をする、おなす 「おりゃ!おりゃ!」
張り手を喰らう、おいも 「痛い!痛い! ぐす…痛いよぅぅ」
張り手を喰らい…おいもは泣き出しました…
おいも 「痛いよ~~(涙)」
攻撃を止めたおなす 「あっ? ごめん…おいも…すこし強く叩きすぎたかも…」
高僧 「・・・(フ…あまいの~…)」
おいも 「スキあり!」
おなす 「へ?」
その一瞬! おいもは! おなすを投げ飛ばしました!
高僧 「勝負あり! 勝者! おいも!」
室戸の村人達 「わー!わー!」
負けた尻もちをついたおなす 「おいも!ずるーい!(怒)」
勝った、おいも 「おなす…勝負の世界にずるいも汚いもないのよ…騙される方が悪いのよ…」
高僧 「・・・(そのとおりじゃ・・)」
おなすとおいもの取り組みを見ていた、六助のヨメと六助は…
六助のヨメ 「なるほどね? ワタシの次の相手は、おいもかい?(ニヤ)」
六助 「「おいも」は、なかなか頭が切れるおなごのようだ…油断できんぞ…」
六助のヨメは 掴んでいた焼きたて熱々の「石焼き芋」を一気にかじりつき!
六助のヨメ 「おいもを喰ってやるよ!」
土俵の上では…
高僧 「次の取り組み! 室戸岬の六助と、そのヨメ!出番じゃ!」
行司(高僧)に呼ばれた六助のヨメと六助は…
六助のヨメ 「あんた! 試合だよ! さっさとしな!(怒)」
六助 「…」
六助のヨメ 「あんた? どうしたんだい? 元気が無いね?」
六助 「ヨメよ…ワシ…本気でお前と相撲していいか?」
六助のヨメ 「なに…?」
六助のヨメの顔が…
鬼の形相に豹変…
六助のヨメ 「ああん? 本気で勝負? あんた…死にたいのかい?」
六助 「ワシ…子供の頃は、おさごの夫や五助たちを従えていたガキ大将やった…しかし今じゃ…お前にビビッてばかりや…」
六助のヨメ 「…」
六助 「ワシは亭主関白でいたんや…ワシがお前を仕切る!」
六助のヨメ 「分かったよ………やってやるよ!(怒)」
六助 「オレが家の大黒柱という事を分からしちゃる…」
突然、起きた二人のやりとり(揉め事)を、遠くで見ていた…
おさごと夫は・・
夫 「なんや? あの夫婦なんか揉めとるようじゃの~?」
おさご 「あなた見てください! 六助さんの顔が…今までの弱気な顔から勇ましい男の顔に!?」
夫 「本当や…こりゃ~もしかしたらもしかするかもの~♪ ココであの化けもん(六助のヨメ)が負けてくれれば♪」
六助のヨメと六助は土俵の上に!
特別席では…
家老 「住職、この取り組みの見所は? あの熊の様な男は何者じゃ?」
住職 「あの者は六助のヨメです。 2年前、現役の闘犬横綱が六助のヨメを一目見て尻尾を巻いて逃げ出したそうです」
家老 「闘犬横綱が!?」
試合開始!
高僧(行司) 「塩をまけい!」
六助のヨメ 「グルルルゥゥ」
六助 「絶対に負けん!」
六助のヨメと六助は塩をまき膝を曲げ、
高僧 「時間です! 両者見合って…はっけよい! 」
両者の手は地面につきました!
高僧 「のこった!」
その直後! 六助のヨメの張り手が!!
ブ――――――――――――――ン
六助の顔を襲いました!
すると!
六助の首は180度回転!
室戸の村人達 「!!!」
家老・住職 「!!!」
夫 「六助!」
おさご 「六助さん!」
躊躇なく! 六助のヨメは六助のマワシを取り!
六助のヨメ 「どっせりゃぁぁあ!!」
六助を観客席に投げ飛ばしました!
高僧 「勝負あり! 早く! 六助の手当てをせい! 手遅れになるぞ!」
投げ飛ばされた六助の元へ!
おさごと夫が!
おさご 「六助さん!」
夫 「六助! 大丈夫か!?」
仰向けで倒れた六助は…
涙目で見つめ返し…
六助 「あぅぅ…今回の相撲大会の…ゴホゴホ…ヨメの暴走と悪行は…ワシのせいや…ワシのチカラで…アイツを…なんとか止めたかったが…ワシは亭主として…失格やっ…がは!(吐血)」
おさご 「六助さん・・(涙)」
夫 「六助・・(涙)」
その時…
六助のヨメが…六助の元へ現れ…
六助の首を、くるっと元に戻し…
六助をお姫様だっこし…
六助のヨメ 「あんた…すまない…やり過ぎた…」
六助 「いや、いい…こうなることも覚悟していた…」
六助のヨメは、大粒の涙を流しながら…
六助のヨメ 「ワタシ…あんたを傷つけて! 分かったよ!(泣)」
六助 「・・・」
六助のヨメ 「米一俵なんかより…ワタシにとって、あんたが一番の宝物だって…ことがね…(涙)」
六助 「ヨメよ…分かってくれたか…(涙)」
六助のヨメ 「暴力は悲しみしか生まない。 ワタシは相撲大会を降りるよ…米は惜しいけど…」
六助 「ワシの様なダメな男でも、最期くらいは夫らしい事ができたの…」
六助のヨメは、六助をお姫様だっこして何処かへ歩む…
おさごと夫は…
去り行く…
六助のヨメの背中を見つめながら…
おさご 「あなた…あれが夫婦の愛ですね…(涙)」
夫 「ああ‥ (なんか良く分からんが…あの化けもん(六助のヨメ)が辞退してくれて良かったぜよ♪」
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