22話 家庭菜園編


 仕事(漁)を終えた、今日も坊主(釣果ゼロ)の夫が、昼に家に帰ってきました。


夫「おさご♪ 帰ったぞ♪」


 おさごは元気なく…


おさご「おかえりなさい……」


夫「どうしたぜよ? 元気無いな? 風邪でもひいたんか?」


おさご「なんでもありません…」


夫「なんでもないって? いつも元気なおさごが、元気が無いのに・・・なんでもないわけないぜよ?」


おさご「あなた・・・」


夫「夫婦やろ? 夫婦の間に隠し事はいかん・・・さあ? 何があったんや?」


おさご「はい・・・」


 おさごは、お気に入りのナスがカラスに誘拐された事を話しました。


夫「なんやと? そんな事で元気が無かったのか♪ 心配して損したぜよ♪」


 夫の言葉に! おさごはカチン💢と来て!


おさご「そんなことですって!?(怒) 裏の畑の野菜はワタシ達夫婦の唯一の食料なんですよ!」


夫「確かにそうやけど・・・」


おさご「今日こそは隠さずにはっきり言わせてもらいます!(怒)」


 そして…


 毎日、まったく魚を釣って帰らない、夫への説教が始まりました。(夜まで)



 翌朝、おさごが畑に行くと……

 全体の4分の1の野菜が消えていました!


 🥒 🥬 🥬     

 🥒🥬 🥬       👩💦

 🥒🥦🥦🥦🥦🥦🥦

 🥒🥦🥦🥦🥦🥦🥦



「あなた!!!」


 おさごが大声で夫を呼ぶと、夫は家から出て裏庭の畑に来た。


夫「おさご? どうしたんじゃ? ん? なんじゃこりゃ!?」


 夫も畑を見て驚きました!


おさご「ダレの仕業なのでしょうか・・・」


夫 「決まっとるぜよ! あの坊主(高僧)の仕業ぜよ!(怒) 今から! 坊主のトコロ(ミクロ洞)へ行って文句を言ってくるぜよ!」


 夫が、高僧のトコロに行こうとした時…

 おさごは、畑に大量のフン(タヌキ一家の嫌がらせ)があるのに気付きました。


おさご「あなた・・・待ってください・・・」


夫 「なんでじゃ?」


おさご 「畑を荒らしたのはお坊さんでは無いかもしれません。 コレ(フン)を見てください」


夫 「たくさんのフンがどうしたぜよ? そのフンも坊主のフンぜよ! おさご! 犯人は坊主以外に他にダレがおるぜよ! ん?・・・待てよ・・・そうか!? 六助のヨメか!(納得)」


 おさごは大量のフンを指差し、


おさご 「この大量のフンはきっと何匹かのタヌキのモノです」


夫 「タヌキ?」


おさご 「タヌキは執念深い・・・あなた何か心当たりは?」


夫 「ないぜよ」


おさご 「本当に? よく思い出してください・・・」


 夫は腕を組み真剣に考えこんだ結果・・・


夫 「まったく身に覚えが無いぜよ!」


おさご 「そうですか・・・ あなた? 庄屋の娘の『あお』さんをご存知ですか?」


夫 「知っとる」


おさご 「『あお』さんとワタシは昔からの知り合いです」


夫 「それがどうしたぜよ?」


おさご 「あおさんの飼い猫に八雲というネコがいます」


夫 「ネコやと? ワシはネコが嫌いぜよ!」


おさご 「八雲の鼻はどんな獣よりも敏感と聞きます。 あなた『あお』さんに頼んで、八雲を借りに行きましょう! 八雲に、このフンの匂いを嗅がせ性悪タヌキ達の巣を探し、タヌキ達を捕らえましょう!」


夫 「さすがおさご! 名案じゃ!」


  

 早速、 おさごと夫は庄屋の家に向かいました。  





 庄屋の屋敷の外…


おさご 「相変わらず、大きくて立派な家ですね~」

夫 「そうやの~ さあ、中に入ろうぜよ」


 おさごと夫は 屋敷の中へ…


おさご・夫 「ごめんください!」


 二人が呼びかけると、奥から庄屋が出てきました。


庄屋 「おさごさんに亭主? なにようぞ?」


おさご 「あの~お願いがありまして・・・庄屋さんの娘さんの『あお』さんの飼い猫『八雲』をお借りしたいんですが・・・」


庄屋 「なぜ八雲を?」


おさご 「性悪タヌキにワタシの家の畑を荒らされて困ってるんです。 そこで八雲をお借りして性悪タヌキを捕らえようと思ってるんです」


庄屋 「今しばらく、お待ちを・・・ そろそろ、魚を買いに行った『あお』が帰ってくる頃です。 八雲を貸すか貸さないかを決めるのは、飼い主の『あお』ですからな~」


おさご 「分かりました。 ココで待っていいですか?」


庄屋 「どうぞ♪ どうですか? 『あお』が帰るまで私とココでお話しでもしてくれませんか?」


おさご 「いいですよ♪」


 庄屋は夫に、


庄屋 「おさごの亭主? お前は、上がって奥の部屋で昼寝でもしてなさい」


夫 「分かりました♪ 仕事で疲れてまして、少し眠らせてもらいます♪」


 夫はワラジを脱ぎ、奥の部屋へ・・・




 奥の部屋に入った夫は横になり、


夫 「ふわ~眠たいぜよ~・・・ん? ちょうど、えいトコロに、フワフワのトラ柄の枕があるぜよ♪」


 夫はフワフワの枕に頭をドンっと置きました!

 すると!


枕 「にゃー!! (何するニャン!!)」


 夫は枕が鳴いたのにビックリ!


夫 「なんやこの枕!?」


 夫はよく見ると・・・ 己が、頭を置いたモノは枕では無く・・・


 八雲(ネコ)でした!



八雲😾 「にゃ!(ダレだ、お前は!? ボクは枕じゃないぞ!)」


夫 「もしかして・・コイツが八雲とか言うネコか? 太り過ぎて、まるでタヌキぜよ・・・」


八雲🐱 「にゃ? (タヌキだって? ボクは人間だにゃん!)」


夫 「はあ~? ネコのクセに人間やと~? まあどうでもえいわ、眠い・・・」


 夫は八雲を無視して、横になり眠りました。


夫 「zzz」


八雲😾 「にゃ~ (失礼な男だな~ ところでダレだコイツは?)」


 

 その時、部屋に『あお』が来て、


あお 「あら? この眠っておられる方が? おさごの旦那ですか?」


 八雲は『あお』の足に擦り寄り…


八雲😺💕 「にゃ~♪ (あお、お姉ちゃん! ボクのごはんのお魚は?)」


あお 「やっぱりお腹が空いてるんだね♪」


八雲😸 「にゃ? (お魚はなんだにゃん? サバ? アジ? カツオ?)」


あお 「今日は八雲の大好物のマグロを買ってきたんだよ♪」


八雲😺💕 「にゃあ!! (本当!?(ヨダレ))


あお 「だけど八雲? マグロは『おさご』からの頼まれ事を無事に済ませて、家に帰ってからだよ?」


八雲🐱 「にゃ~? (頼まれ事?)」


あお 「この人(夫)と『おさご』のお供をして」


八雲🐱 「にっ・・・(コイツ(夫)のお供?)」


 八雲は眠っている夫を見ました。


夫 「ぐが~ぐが~zzz」


  すると・・・ 急に八雲は嫌な顔に・・・  


八雲😾 「にゃん・・・ (イヤだにゃん・・・コイツ(夫)なんかキライだにゃん・・・)」


あお 「・・・どうしたんだ八雲? 急に嫌な顔をして?」


八雲😿 「にゃん (ボクは男が嫌いだにゃん。 お姉ちゃんくらい美人じゃないと言うこと聞かないにゃん!)」


あお「どうしたんだ? ワタシにネコの言葉が分かればいいんだけど・・・」


 その時、部屋におさごが・・・


おさご 「あおさん? 八雲は来てくれそうですか?」


あお 「それが・・・八雲は乗気じゃ無いみたい・・・」


おさご 「そうですか・・・残念です・・・・あらまあ? この人(夫)ったら、こんなトコロで寝てしまって・・・あなた! 起きなさい!」


夫 「zzz・・・ん?おう? おさご? すまんすまん・・ぐっすりと寝ておった」


おさご 「あなた、帰りますよ」


夫 「そうか? トコロで八雲は来てくれるのか?」


おさご 「八雲は気が乗らないようなのです」


夫 「仕方が無いの~」


あお「二人とも・・・わざわざ、家まで足を運んでくれたのにごめんね・・・ん?」


 あおが八雲を見ると…


八雲😻💘「にゃあ~ん♪ (お姉ちゃんよりずっと美人だぁ~♪)」  


 おさごを見上げる八雲の目は、輝いていました。



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