6話


 宴は夜遅くまで続きました。


 翌朝…

 寺小屋で行われる、夫と漁師Aのソロバン対決に、

 おさごと、若頭、五助と六助、紀州からの漁師3名がいました。



寺小屋の先生 「え~それではそろそろ始めましょうか?」


五助と六助 「がんばれよ~」

夫 「おうよ! まかしちょき。今日はコイツの命日じゃ…ニヤリ。」


紀州からの漁師3名 「がんばれよ~」

漁師A 「げへへ、こ~んなボンクラに負けるきがせんわい(笑)」


 若頭に、おさごが、

おさご 「あの~わたしも参加させてもろうてもいいですか?」


若頭 「別にかまわんが、おさごさんはソロバンができるのか?」


おさご 「はい、むかしおじいちゃんに教えてもらってたんです。 自信はないですけど、久しぶりにソロバンをはじきたくなったもので」


若頭 「なら、おさごさんも入って」


 おさごは座りソロバンをおきました。


五助と六助と紀州からの漁師3名  「おさごー!! 頑張れー!!」


おさご 「はい!頑張ります!」



若頭 「では、先生お願いします。」   



 先生はそろばんを前に置いた三人を見て、

寺小屋の先生 「わたしの出す問いに答えてください。いいですな? 五両たす三両は?」

漁師A「八両!」 夫「…」 おさご「八両です」


寺小屋先生 「お二人正解、では十両たす十両は?」

漁師A 「二十両!」 夫「…」 おさご「二十両です」



寺小屋先生 「お二人正解…百二十四両たす五百八十九両は?」

漁師A 「…七百十三両。」 夫「…」 おさご「七百十三両です」




寺小屋先生 「お二人正解…では」


夫 「ちょっと待っつぜよ! ワシは今日は体調がすぐれんき、抜けさせてもらうぜよ…」


寺小屋先生 「はい、分かりました。では残ったお二人で続けましょう」


 夫は席を立ちました。


漁師A 「お?降参か?ははは」


夫 「…おさご、後は頼んだぞ。」

おさご 「…あなた」


 夫は寺小屋の外へ。


五助と六助と紀州からの漁師達 「おさご! 頑張れ!」

漁師A 「くっうるさいやつらじゃ…先生、始めてくれ!」


寺小屋先生 「では、次は難問ですよ、39+39+39+39ー59-14-28-12-43=?」

漁師A 「むむむ…零じゃ…」

おさご 「…わかりません」 



寺小屋の先生 「そちらの漁師さん…最終解答(ファイナルアンサー)?」


漁師A 「…最終解答(ファイナルアンサー)!」


うつむいた寺小屋の先生 「・・・・・・・・・・・・・」


心配そうな漁師A 「・・・先生! どうなんですか!?」


顔を上げた寺小屋の先生 「正解!!!」



漁師A  「やったー!会計係りはワシに決まりじゃ!(笑)」


五助「つまらん」

六助 「時間の無駄やった。早う帰ろ」


 五助と六助は帰りました。


 紀州からの漁師達もつぶやきました。

紀州からの漁師達 「アイツが勝ってもおもろないな~(アクビ)」


漁師A 「おい!おまえら!…まあ良い…若頭! では金庫番はワシという事で♪」


若頭 「いや、ちょっと待て…おさごさん。ソロバンは零の答えになっておるが、どうして答えなかったのじゃ?」


おさご 「それは…」


 その時、外で時間を潰していた夫が来ました。


夫 「おさご…負けてもうたか? まあ仕方がないな…(ニコ)」


おさご 「あなた…すいません」



 若頭はおさご夫婦を見た後に、漁師Aを向き、

若頭 「よし…オマエが金庫番で決まりじゃ」


漁師A  「はい。必ず一文の狂いもなく! おまかせを…(ニヤリ)」


夫 「では、大将たちの住む場所をこれから探すぜよ。 坂本(村の集落の名)にでも行ってみるか!」


若頭 「すまんな」


夫 「いえいえ。 ほれ、おさごも来い」


おさご 「はい!」


おさごたちは坂本へ向かう。



 ___~👯👯👩__🏠🏠🏔




夫 「若頭! ココが坂本ですよ!」


 夫が大声出した時、偶然にも室戸の役人が居ました。


役人A 「おい!ソコの4人! おまんら室戸じゃ見ん顔やが…(ジロ)」

役人B 「おまんら4人、こっち来い(ジロ)」


 若頭たち4人は役人に呼ばれました。


夫 「う、まずい…大将は紀州に人やき、バレたらやばいぜよ(汗)」


 漁師Aはあたふたと、

漁師A「あわわ~若頭? どうしましょう?」


若頭 「おさごさん、ワシはどうしたらいいと思う?」


おさご 「え?若頭はこの室戸を日本一のクジラの町にするために、紀州を捨て室戸にきたのですから…堂々とするべきです!」


夫 「おさご~…堂々ちゅうても国抜け重罪やぞ…」


おさご「ワタシがあのお二人(役人)を説得します! ついて来てください!」


 おさごたちは役人のもとに歩みました。


役人A 「お♪ おさごちゃんもいたんか~♪」

役人B 「おさごさん! おはようございます!」


「あの~この人達は紀州から来た人たちです」


役人AB 「 !! なんじゃとー! おさごさん! よく知らせてくれた!   大手柄ちゃ!」


おさご 「あの~この人たちはカクカクシカジカ…」


 おさごは、役人に若頭たちが室戸に来たワケを話ました。


おさご 「これから室戸…いえ、土佐の礎(いしずえ)になる。 この人たちを影でコソコソ鯨漁をさせるのですか!!!」


役人AB 「う、ワシらに言われてもな~。よし! 上の者に聞いてみよう」



おさご 「ありがとうございます! 若頭さん…なんとかなりそうですよ♪」


若頭 「おさごさん、すまんな」



漁師A 「う~ん…おさごさんは、普段はやさしいが、気の強いところもあるんじゃの~、ますます、あんな男のヨメになったのが不憫じゃ…」



役人AB 「では、参ろう」


 おさごたちは庄屋のもとにむかいました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る