7話


おさご達が庄屋の屋敷についた時、

中では、庄屋が独り言を…


庄屋 「はぁ~(タメ息)本当にこの室戸の村は貧しいの~まあ、土佐自体が貧しい土地やき仕方ないか…はぁ~」



役人AB  「庄屋どの~失礼します」


庄屋 「これは、お役人さん。どうかしました?」


役人A 「じつは…カクカクシカジカ…」


庄屋 「それはまことか? お役人さん」


役人B 「はい。 おさごさんが、この者どもを、「室戸でクジラ漁をさせるべき」と言うのでとりあえず庄屋殿のもとに」


おさご 「どうか! おねがいします!」


庄屋 「…」


夫 「ワシからもおねがいします」



庄屋 「アンタたちが、頭を下げることはないぜよ。この村、いや、土佐にとってもウマイ話かもしれん」


おさご・夫 「良かった!」


庄屋 「たしかに国抜けは罪じゃが、この日本の各藩は、技術や知恵を持つ民をあちこちで引き抜いておる。 ましてや、この貧しい土佐ではクジラ漁の知恵と技術は喉から手がでるほど、欲しいはずじゃ」


おさご 「良かったですね! 若頭!」


若頭 「ああ」


庄屋 「すぐにでも、家老さまにお願いしに行こう。 では、紀州からの漁師さん、ワタシに同行おねがいします。」 (注:大名は参勤交代で不在のため)


おさご 「あの~ワタシたちも一緒に行ってかまわんですか?」


庄屋 「えいよ」


おさご 「では、おともします」


 おさごたちは土佐の高知城に向かいました。  



    🌞   ☁☁     ~🐥     ☁


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 翌日…

 高知城に着きました。


夫 「始めて見るが、でっかい城じゃの~」


庄屋 「では、ワシは家老さまに若頭らが会える様に話てくるから、みなさんココでしばらく待たれよ」


 庄屋は城の中へ。


 しばらくして…


 城下町の方から数人のお侍さんが来ました。



侍A 「どけーい! 姫様のお通りじゃ!」


 皆は道を、急いで開けました。


おさご達の方を見つめる姫 「あ?…ぁ?」


 侍数人と姫が、おさごたちの前を通り過ぎました。


漁師A 「ほう~、あれが土佐の姫様か?まだ若いが、カワイらしかったの~」


 庄屋が来ました。


庄屋 「おまたせ! 家老殿もクジラ漁のハナシに興味をしめしての~。すぐにでも会ってくれるそうじゃ!」


おさご 「良かったですね♪ 若頭♪」


若頭 「ああ、おさごさんに感謝や」


庄屋 「では、城の中に参ろうか? おさごさんと旦那さんは、ココでしばし待たれよ。」


おさごと夫 「はい」


 夫とおさご以外は、城門をくぐり中に入って行きました


おさご 「…うまくいくと良いですね」


夫 「おさご、ココで立って待つのもアレやき、あそこの木の下で待とうや」


 おさごと夫は松ノ木の日陰へ。


おさご「こうして、あなたと二人っきりになるのは久しぶりな気がします」

夫 「おさご…紀州におる時も、ずっとおまんに会いたかった」

おさご「あなた…」


 夫婦が体を寄せ合った…その時!

 一人の虚無僧が、おさごと府の前に立ち笛を吹き出しました!


虚無僧 「ピー!ピー!ピー!」


夫 「なんじゃい! おまんは! 人の邪魔をするなっちゃ!」


 虚無僧は夫の威勢に少しとまどいましたが、虚無僧笠を外すと…

 少し前におさご達の前を通った姫でした。


おさご 「あの~?お姫さまですよね?なんで、ココにその格好でおるんですか?」


姫 「ふん! そちのような、小汚い者に用はない」


己を見るおさご 「小汚い?(汗)」


姫 「そち(おさご)は、はよ去れい! 目障りじゃ! わらわがこの格好でココに来たのは…このおかたに会うためなのじゃ…ぁぁ(赤面)」


おさご 「このおかた?」


 姫はジーっと夫のほうを、顔を赤くし、嬉しそうに見つめていました。


夫 「えっ…あの~ワシに何かようですかい?」


姫 「わらわは、そなた様を好いております。わらわがこんな気持ちになるのは初めてじゃ…(惚)」


急にまじめに応える夫 「いや、急にそんなコトを言われましても…。お姫様とワシは身分が違いますし~それにワシ~となりのこの者がワシの嫁のおさごです」


姫 「なんと! この女が嫁!?」


 姫はムッとした顔で、おさごをにらみました。


おさご 「そういうコトです…(ニヤリ) ワタシとこの人は夫婦なんです」


姫 「むむむ」


夫 「あの~お姫様? なんでワシなんかを気に入ったんですかい? 会ったばかりやし?」


姫 「いいでしょう。 お答えしましょう」


 姫は神妙な面持ちで答えました…


姫 「わらわは土佐藩主の娘です。 わらわの周りには幼少の頃から、『家柄』が良く、『容姿』も良く、『頭』も良く、『才能』もあり、『性格』も良い人たちばかりに育てられ、接してきました。」


夫 「は~それはなんとなく分かりますが、それでなんでワシのコトを?」


姫 「まだ、話に続きがある。 このままいけば、わらわはどこかの藩主の息子か家老の息子と婚儀をされるでしょう。 つまり一流の家柄の方と」


夫 「は~、それもなんとなく分かりますが」


姫 「まだ、分からないのですか?」


夫 「分からんぜよ」


姫 「やはり…。 今日、いや、この2、3日わらわは土佐の町を見て周りました。 それでも、あなた様ほど、ぐ~たらそうで、だらしない格好で、何も考えてなさそうで、幸薄そうな人を見つけるコトが出来ませんでした。 おそらく日本中探したとしても…」


夫 「はあ~」


姫 「ようするに、わらわは、優れた男は嫌いなのじゃ。 お前ののような、ぐ~たらでどうしようもなく、救いがたい男がわらわの好みなのじゃ。 守ってやりたいと思うのじゃ」


夫 「…」

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