雨の国のアリス

アリサは雨が嫌いでした。濡れるし、髪ははねるし、頭はボーっととするし、良いことが一つもありません。

なにより、梅雨のある日は毎年、特に憂鬱な日があります。思い出もない、姉の墓参りに行かなければいけないのです。

十四歳のアリサはその年、生まれて初めて墓参りをさぼりました。少しの罪悪感とともにまどろんでいると、不思議なことが起こります。マンション中が、霧に包まれていたのです。

その光景に見惚れていると、一本の綺麗な傘が降ってきました。傘に惹かれたアリサは、霧の中に落ちてしまいます。

気がつくと、アリサは雨の降る森にいました。


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「不思議の国のアリス」をモチーフにしたオリジナル作品です。
初長編作品。第6回カクヨムWeb小説コンテスト参加。

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主人公：十…続きを読む