「リルチェちゃん、大丈夫?」

奇跡的に無事だった僕の部屋で、あの後泣き疲れて眠ってしまったリルチェちゃんの傍に居た。多分、僕なんかじゃ兄さんたちの会話には入れないし。

「えへへ……色々、ありがとうございます。ソワードさん」

笑顔でホットミルクを飲むリルチェちゃんは可愛い。本当に天使か何かだと思う。ふわふわとしていて柔らかい桃色の髪の毛、僕等とは違うけれど鮮血のように輝く栗色の瞳。そして十五歳とはにわかにも信じられないたわわなその胸……変態と蔑まれても良い位に最高だと思う。一生この子を守れたら、幸せなんだろうなぁ。

「いいんだよ、僕が好きでしてる事なんだから……リルチェちゃんは働きすぎなんだから、もっと休まないとダメだよ」

「うぅ……気を付けます。けど、ソワードさんも無理してる顔してます。お互い、無理はしないようにしましょう、ね」

「うん、お互い気をつけようね」

警報が鳴ったのは、そんな時だった。

「警報……? 何かあったのかもしれない! リルチェちゃんは何があってもここで待ってて!」

「そんなの、ダメです! まだ少しだけふらつくけど、私だって戦えます!」

立ち上がったリルチェちゃんは、最高に可愛くって、かなりときめいた。

「ソワード? なんで此処に……クソッ警報のせいか。とにかく此処は危険だ! 外行け外!」

広間には、兄さんしか居なかった。兄さんは倒れている兵士にでもやられたのか体中に傷が付き、服も血で汚れている。

「僕だって戦える! 兄さん、加勢するよ!」

どこまでも愚直で、馬鹿な僕は気付かなかったんだ。なんで、兄さんだけが取り残されているのか、その理由を――。

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