5話
スヴォルドーー別名、旅人の街。ギルドや武器屋、闘技場などがあり、金を稼ぐにはもってこいの街である。結構良い宿に一週間滞在する事に決め、俺は金稼ぎに奔走する事にした。エネミーは宿でお留守番中である。
「上級火龍とー、上級魔物三体討伐。後は22時からの闘技場の予約したいんですけど」
「名前は?」
「シザリス・リッパー」
「はい。承りました」
無機質なやり取りをした後、予定表とやらを受け取る。火龍討伐まで後10分か……何してよう。
「あの、」
休憩所とやらで女の子でも引っ掛けようかなーと思いつき、休憩所へ赴こうとした足は、俺に話しかけられたであろう言葉でピタッと停止した。女の子の可愛い声なら即座に振り向いたが、野郎の声だ。一気に気分が萎える。
「なんだ? ナンパは受け付けんぞ」
「いえ、火龍クエストペアになったので挨拶しようかなと思いまして! あ、私の名前はブラッド・ブラッグ。しがない冒険者です」
あのクエストペア制だったか……とガッカリしつつ、振り向いて話しかけてきた男の格好に絶句した。顔は柔和な好青年で微笑んでいるが、左目の下には涙マークのペイントがあり、眼鏡を着用。目は血の様に赤く、後ろで結んでいる髪は漆黒。肌は真っ白だ。首には黒い首輪。服装は真っ白で上下繋がっている。腹には赤と白色のベルトの様な拘束具がバツ字に巻かれており、腕にも同じ拘束具が巻かれており、拘束具から伸びている白い袖で腕はかくされている。心臓辺りには十字架のマークがある……完全に変態の装いである。俺も女装しているが、ここまで酷くない筈だ。せいぜい「筋肉質な女性」程度でしょ。
「……ああ、そういう」
とりあえず素っ気なく返す。野郎に見せる笑顔は無え。
「はい。では、そういう事なので、仲良くしましょうね、シザリスさん?」
にこにこと笑っていた目が、急に細められる。なんていうか、探ってくる様な気持ちの悪い視線だ。
「ソウデスネー」
赤い目ってなんか苦手だ……見透かされてる感あるしな。ん? というか黒髪に赤い目ってなーんか既視感が……まあ良い。とりあえず、ササッと火龍を片付けて、次の依頼まで二時間空きがあるしエネミーと戯れよう……。
そして火龍を倒しーー。
「もう本当にブラッドは最高だな! 」
「シザリスこそお強いですね」
すっかり意気投合していた。なんか、意外と話し易いし、戦いの相性も良いみたいだ。
「なあ、仲間にならないか?」
「いいですよー」
▼ブラッド が 仲間 に なった!
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